こんにちは、Fijiです🐎。
春にあるある、なのですがこの時期から梅雨時にかけて寝ても寝ても眠たい、という患者さんが増えます。
「春眠暁を覚えず」という言葉を聞いたことがありますね?
春の眠りはとても気持ちがいいのでついつい寝坊してしまうのです。
ところが春、皆さんの中には気持ちがよくてちょっと寝過ごした、では済まないほどの眠気を感じる方が増えます。
大切な会議の途中で
猛烈に眠たくなっちゃった。。。
好きな授業だったのに
気が付いたら爆睡…。
電車、乗り過ごしちゃったよ。
など思い当たりますか?
西洋医学では過眠症と言ったりします。
東洋医学では嗜眠(しみん)と言い、意識障害があるわけではないけれど寝ても、寝ても眠たい状態をさします。
この記事は
- 嗜眠で困っている。
- 薬に頼らず、根本治療したい。
- 東洋医学や鍼灸に興味がある。
- どんな考え方で治療するの?
- 自分でできる対策はあるのかな?
とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。
Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。
日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。
私がどんなふうに嗜眠を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。
そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。
寝る、ということ
おなじみの陰陽の図を見ながら、まず「寝る」という行為を東洋医学的に陰陽で考えてみましょう。
「寝る」というのは夜、暗い陰の時間帯にじっとしている、という行為ですね。
つまり寝ることには人が持つ陰陽エネルギーのうち陰のエネルギーを養う、つまり増やす働きがあります。
陰陽については以下の過去記事もご参考になさってくださいね。
五臓六腑と五行説(ごぎょうせつ)
東洋医学の五行説によると春は肝の臓がとても活発になる季節です。
五行説ってなに?と思った方、一緒に下の図を見てみましょう。
冷たいビールを飲むときに「五臓六腑に染み渡る~」って聞いたことがありますね。
五臓というのは肝・心・脾・肺・腎です。
六腑というのは胆・小腸・胃・大腸・膀胱と東洋医学独特な考え方である三焦(さんしょう)です。
下の図の〇の中をご覧ください。
それぞれの臓腑に独自の働きがあり、他臓腑と深く関係しあって健康を維持してくれています。
時計回りの赤い線は相生(そうせい)と言います。
相手の働きを生かしてくれる、という働きです。
例えば緑の円の中、「木・肝・胆」と書いてありますね。
木は燃えて火を生んでくれます。
次に中央の星形のグレーの線を診てみましょう。
相克(そうこく)というお互いを抑制する働きを示します。
先ほどの「木・肝・胆」は「土・脾・胃」を抑制します。
その抑制力が程よいのが理想ですが行き過ぎると「木は土の養分を吸い取る」結果となるのです。
言い換えると、肝の臓が活発になりすぎると脾の臓をいじめる=働きを弱めてしまう、ことになります。
脾の臓は胃とともに主に消化吸収の役割を担っています。
そのため日ごろから胃腸の調子がよくない方の中には、春になるといっそう胃腸の働きが低下する方がでてきます。
胃腸の働きが低下すると、食べ物由来の水分の再吸収がうまく働かず、お体の中に余分な湿気や痰などが生まれます。
いらないものが排出されずに溜まってくるのです。
いらないものがお体の中にたくさんあると、気血はさーっと体内をめぐることができず停滞します。
特に脾の臓は陰の働きが強い臓器で、湿気を嫌います。
話がややこしいですね。
ここで小学生の頃の水泳の授業の後を思い出してみてください。
一時間、プールの中で水につかった後はお体が
「けだる~い」
「ねむた~い」
状態だったことはありませんか?
人間は魚ではないのでずっと水に浸かっているのは想定外なのです。
春の嗜眠は、お体に余分な湿気がありすぎてけだるい状態に似ている、と考えることができます。
よくある嗜眠のパターンを以下に述べますね。
お体の中に湿気が多すぎるパターン
日ごろから生ものや冷たいものをよく食べる方、飲みすぎの方、埋め立て地やため池の近くや湿地で生活している方、雨でずぶぬれになった方など、お体の中に湿気が多すぎると気血が巡らず、陰のエネルギーが多すぎるので眠たくなります。
よくある症状:
口の中がべたべた粘る。
舌の上に水気の多い白い苔がべったり生えている。
体や手足が重だるい。
頭が締め付けられるように重い。
足の浮腫み。
ご自分でできる対策:
日ごろから飲みすぎ、食べ過ぎしないようにしましょう。
たまに羽目を外してしまったときにはしっかり運動して、発汗を促し、お体の中に湿気を溜め込まないようにしましょうか。
眠たいからと言って寝てばかりより、元気な方はサウナや温泉はいかがですか?
悩みすぎて脾の臓が疲れているパターン
長期に渡って多くの精神的ストレスを抱え込んでいると思慮過度(しりょかど)と言って東洋医学では病気の原因になると考えます。
よくある症状:
疲労倦怠感。
顔色につやがない。
食欲不振。
泥~軟便傾向。
動悸・息切れ。
女性なら月経不順や経血の色が淡い。
ご自分でできる対策:
脾の臓が弱ってくると血の生成がおぼつかなくなりがち。
食事の中に気血のもとになるものをしっかり含めるようにしましょう。
例えば、シイタケ、しめじ、キクラゲ、エンドウ豆、大豆、山芋、ジャガイモ、サツマイモ、カボチャ、ハスの実、ナツメ等々。
う~ん、挙げればきりがありませんね。
つまり、旬のものを何でも偏らずにおいしく、楽しくいただきましょうか。
過労・ご高齢・長患いなどでお体のエネルギー不足パターン
よくある症状:
元気がない。
疲労倦怠感が顕著。
仕事や作業を続けるエネルギーがない。
耳鳴りがしたり、耳が聞こえにくい人もいます。
腰や膝が痛い方もいます。
長期化するとますますお体の湿気が増えるわけですから冷えたり常に寒がる方も出てきます。
いつもウトウトしているものの声をかければ目を覚ましますが、またすぐにこっくりこっくり、ご高齢の方に多いです。
ご自分でできる対策:
今以上に疲労しないようになさってくださいね。
皆さんのお体のエネルギーも時には充電が必要になります。
動くスピードについて
特にご高齢の方は「転倒しないようにね」とあちらこちらで言われるため、足元を見ながら動きが慎重に、ゆっくりになりがち。
転倒しないことは骨折からの寝たきり予防に大切なことですが、実はゆっくり動く、というのは勢いを利用できないのでとても疲れるのです。
ご高齢の方、若くても体が硬い方、常に力んでいる方は何気ない動作にたくさんのエネルギーを消費します。
わかりやすい例を挙げると、皆さん、自転車に乗ってある程度のスピードがあればぐらぐらせずにまっすぐ進めますね。
ですが、超ゆっくり運転すると、どんなに筋骨隆々の方でも苦労しますね。
ご高齢の方、体の硬い方、力みの強い方のエネルギーの使い方はこの状態に近いことがあります。
ご自宅の中など慣れた場所で、時には前を向いて、両手を振りながら、大きな歩幅で歩いてみてください。
スピードと慣性の法則を利用できるので実は楽なんですよ。
いかがでしたか?
今回は五臓六腑のうち脾の臓の弱りに着目して眠気についてお話ししましたが、何はともあれ十分な睡眠時間を確保することはとても大切です。
お体も頑張りすぎると回復に時間がかかりますから無理なさらないようにね。
東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。
このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあることはご了承ください。
最後までお読みくださりどうもありがとうございました!
ブログランキングに参加しています。
この記事がお役に立てればバナーをポチっと押してくださると嬉しいです。
にほんブログ村
参考:
東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)
燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻