東洋医学で考える食欲不振、6つのパターンと自分でできる対策

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。

二十四節気の小暑、そろそろ梅雨明けが待ち遠しいですね。

皆さんはいかがお過ごしですか?

夏にあるある。

冷たいものの食べ過ぎで胃腸が弱ってくる方が増えます。

本格的な夏を迎える前にちょっとだけ食欲不振について、東洋医学的な予備知識をお伝えします。

そして皆さんに元気に夏を過ごしていただきたいと思います。

この記事は

  • 食欲不振で困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに食欲不振を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

納保(のうほう)

東洋医学では食欲不振を納保と呼びます。

食べることは人間の生理的欲求の一つで、生命の維持のために不可欠です。

ですが、誰でも

  • 食べ過ぎた後、
  • 緊張するイベントの前、
  • 寝不足が続くと、

一時的に食欲が低下することがありますね。

この記事ではこういった短期的な食欲不振についてお話しますね。

ここでは抗がん剤など薬剤の影響、摂食障害は除外しています。

五臓六腑

食欲不振は五臓六腑のうち脾の臓(ひのぞう)胃の腑(いのふ)肝の臓(かんのぞう)と関係が深いです。

胃の腑

Stomach

まず、食べ物が胃の腑に入り消化をして下方向にある小腸・大腸に送り出します。

この働きを降濁(こうだく)と言います。

この下向きの機能がうまくいかないと、むかむかしたりげっぷが出たりすっぱいものが上がってきたり、しゃっくりが出ます。

逆流性食道炎なんて病名を聞いたことがありませんか?

胃の位置から見るとみんな上向きのベクトルが働いていますね。

降濁ができていません。

脾の臓

脾の臓が飲食物から得られた栄養分(清、せい)をいったん上半身に持ち上げてから全身に運搬します。

東洋医学独自の考え方です。

この持ち上げる、という上向きの機能がうまくいかないと消化吸収に異常が起こって食欲不振、ひいては栄養不足おなかが張る、腹痛や下痢といった症状を引き起こします。

持ち上げる機能が働かないと胃下垂脱肛など内臓が下がってくる症状が出ます。

肝の臓

肝の臓はストレスをまず受け止めてくれる臓器です。

このストレスというのは例えば上司が厳しいことを言う、とか、気の合わない人から理不尽な要求をされた、といったものだけではありません。

猛烈な豪雨で避難を余儀なくされる、とか、朝晩の気温差が激しい、など「いつもと違う」、という緊張状態もお体にとってはストレスとなります。

肝の臓は気血がスムーズに流れるように働いてくれます。

これを疏泄(そせつ)機能と言います。

ですが過度のストレスで疏泄機能が低下すると、血がスムーズに流れずレバーのようにドロドロになったり、体内の水分が停滞して水湿という邪気(病気の原因)になり、水湿が停滞するとになります。

また、こういった物質面だけでなく肝の臓は感情面もコントロールする、と考えます。

疏泄がうまくいかないとイライラしたり、怒りが爆発したり、抑うつ感不安感が強くなります。

ここまで、五臓六腑のうち食欲不振に関係が深い臓腑の働きを説明しました。

邪気ってなに?と思った方は以下の記事もご覧くださいね。

それでは早速、食欲不振にはどんなパターンがあるか、見ていきましょう。

暑い時期に風邪をひいて胃が枯れたようになっているパターン

はい、東洋医学ではいつもまず風邪の影響を疑います。

暑い時期に風邪をひくとお体に熱邪(ねつじゃ、病気の原因が熱)が溜まります。

その余分な熱がお体、特に胃の中の水分を飛ばして枯れたようにしてしまうと胃の機能が果たせなくなり、食欲が落ちます。

風邪については以下の記事もご覧くださいね。

よくある随伴症状:

便秘

出たとしてもコロコロ便。

口の渇きが強く水を飲みたくなる。

口の中が粘る

口臭

空腹感はあっても実際は食べられない。

顔面紅潮

ご自分でできる対策:

毎回ご紹介する風邪の記事をご参考くださいね。

陰を補ってくれるきゅうり・トマトなどみずみずしいお野菜を食べたり、豆腐や湯葉もいいですよ。

食べ過ぎ・消化不良パターン

脂っこいものや味の濃いものの食べ過ぎやお酒の飲みすぎで、消化が追い付いていないと、お体は賢いのでもう食べ物に入ってきてほしくなくなります。

よくある随伴症状:

腐臭のするげっぷが出る。

すっぱいものがこみ上げてくる

おならが臭い

色の濃い臭い便が出る。

胃のあたりの膨満感。

食べ物、飲み物を見るのも嫌になる。

舌に生えている苔が分厚い。

ご自分でできる対策:

胃腸の消化が追い付くまでしばらくは食べ過ぎや飲みすぎ注意ですね。

運動をして消化を促しましょうか。

脾胃に湿気と熱が有り余っているパターン

慢性的に脂っこいもの、味の濃いもの、甘いものの食べ過ぎやお酒の飲みすぎが続くと脾胃に余分な湿気と熱が蓄積されてきます。

ですから食べたくなくなります。

よくある随伴症状:

胃のあたりがつかえて苦しい。

むかむかする。

ひどいと嘔吐する。

軟便傾向。

出てもすっきり出ないこともある。

全身が重だるい

尿量が少なく色が濃い。

ご自分でできる対策:

このパターンの方も脾胃の消化機能が追い付くまでしばらくは食べ過ぎや飲みすぎ注意ですね。

運動をして消化を促しましょうか。

精神的ストレスから胃の働きがうまくいかないパターン

よくある随伴症状:

精神的ストレスの増加に伴い食欲低下がひどくなる。

イライラする。

怒りっぽい。

しゃっくりやげっぷがよく出る。

わき腹が張る

ご自分でできる対策:

現代社会では精神的ストレスと無縁でいることはむつかしいですが、何とか発散する方法を探してみませんか?

例えばリラックスできるアロマを使ってみたり、ゆったりと湯船につかると全身の気血の巡りがよくなるので楽になりますよ。

香りのよい柑橘系フルーツを食べたり、三つ葉やセロリ、玉ねぎ、ラッキョウなど香りの強いお野菜を召し上がってはいかがですか?

こういったことでも気が巡りやすくなります

脾や胃が疲れているパターン

過労が続いたり、食べ過ぎ飲みすぎが慢性化したり、長期に渡って精神的ストレスが続くと脾胃が疲れてきて徐々に食欲低下してきます。

よくある随伴症状:

空腹感がない。

食べると吐き気がする。

胃のあたりの膨満感

息切れ

疲労倦怠感が強くなる

しゃべるのも嫌

ご自分でできる対策:

ご自分の食欲不振が過労によるものなら少しでもゆっくりしましょうか。

慢性的に食べ過ぎ飲みすぎならしばらく控えめにして、食べるにしても消化の良いものを少しずつ召し上がりましょうか。

精神的ストレスが原因ならそのストレスのもとになることが一段落したら思いっきり好きなことをしてみませんか?

脾や胃の冷えているパターン

あまり脾胃が丈夫でないのに冷たいものや生ものを食べ過ぎるとお体のバランスが崩れて冷えに傾いてしまいます。

これから夏本番、暑いからと言って冷たいものを飲みすぎたり、食べ過ぎたりすると秋になる前に胃腸が弱ります

秋の花粉症はブタクサなどが原因と言われることが多いですが実は夏に冷たいものを取りすぎて脾胃が弱って発症することがあるんですよ。

花粉症の記事もご参考にしてくださいね。

よくある随伴症状:

現在の症状に至る過程が長い。

体を冷やすと症状が悪化する。

未消化便(食べたものが消化されずに便に混じる)。

軟便または水様下痢

朝方に下痢

夜間尿の回数が増える。

入浴や温かいものを食べると症状が寛解する。

胃のあたりを暖かい手で触れるとホッとする。

ご自分でできる対策:

これ以上お体を冷やさないようにエアコンの温度に注意してくださいね。

それから冷えを感じるなら腹巻やレッグウォーマーもいいですね。

案外、職場のエアコンがきつい、なんて方には必要な対策です。

お体を温めるような食べ物、例えばショウガを使ってあんかけ風の食べ物やスープ、ラッキョウ・葱・ニラなどもいかがですか?

また、例えば冷ややっこを食べるとき、ショウガや刻みネギ、大葉やみょうがをトッピングしますね。

お豆腐だけ食べるとお体が冷えるので、こういったトッピングで温める、昔からの知恵なのです。

以上、いろいろな食欲不振のパターンを挙げてみました。

Fiji
Fiji

食べ過ぎ飲みすぎなら消化促進のお薬も有効かも。

でも、精神的ストレスや冷えが原因なら効くはずもないね。

病名でお薬を選ぶだけではなく、症状がなぜおこったのかを考えて対策することが大切だと思うの。

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

お体も頑張りすぎると回復に時間がかかりますから無理なさらないようにね。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあります。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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