こんにちは、Fijiです🐎。
最近、日の出時刻がちょっぴり遅くなり、日の入り時刻が早くなってきましたね。
皆さん、いかがお過ごしですか?
月経シリーズ、今回は多くの女性がつらい思いをしている月経困難、いわゆる生理痛についてです。
この記事は
- 生理痛で困っている。
- 薬に頼らず、根本治療したい。
- 東洋医学や鍼灸に興味がある。
- どんな考え方で治療するの?
- 自分でできる対策はあるのかな?
とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。
Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。
日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。
月経は女性にとって生理現象で病気ではありません。
それなのに近年、日常生活に支障をきたしてしまうほどつらい痛みを抱える女性が増加の一途です。
痛み止めもいろいろな種類がありますね。
腹痛、腰痛、頭痛、痛みで眠れない、中途覚醒が多くて気力・体力が低下する、集中力を欠く、イライラする、だれも理解してくれず悲しい、起きるのも辛いのに仕事を休めない、など症状は様々。
私がどんなふうに生理痛を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。
そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。
痛経(つうけい)
東洋医学では月経期、あるいはその前後に起こる強い下腹部疼痛を痛経と呼びます。
腹部の痛みのみならず、頭痛、嘔吐、便秘や下痢などの症状が出る方もありますね。
西洋医学では、主に30代以降に多くなる生理痛で子宮・卵巣・骨盤内に何か病変がある器質的月経困難症と、圧倒的に患者数が多い10~20代の女性中心のはっきりとした病変がないのに痛みがある機能的月経困難症に分けて考えます。
器質的月経困難症の原因となる疾患には子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞、子宮腺筋症などがあり、婦人科ではまずこれらの原因疾患の治療が行われます。
機能的月経困難症にはプロスタグランジン(PG)の合成阻害薬が処方されることが多いです。
東洋医学では以下のようなパターンを考えます。
精神的ストレスが原因のパターン
いつも何かを我慢していたり、不満を抱えていたり、精神的にのびやかでいられないとお体の気血の流れが滞り、あちこちで停滞します。
それが張るような痛みを引き起こします。
精神的ストレスは肝気(かんき)の高ぶりといって気のベクトルを強い上向きにします。
ストレスを頭や心で受け止めて考えるからです。
これを上逆(じょうぎゃく)といいます。
ですから上半身に症状、例えば胸が張ってくる方、頭痛、イライラする方が増えますね。
上向きの気のベクトルが強くなると、無意識のうちに食べることによって上逆を抑えようとします。
それ以上、気が上に向かわないように蓋をするかのごとく、です。
ですから月経前に食べ過ぎる方も多いですね。
上逆なので下方向への気のベクトルが働かず月経前に便秘する方も増えます。
よくある随伴症状:
胸脇部の脹痛。
乳房が脹る。
下腹部脹痛。
精神的ストレスと痛みが連動する。
痛む場所がコロコロ変わる。
口が苦い。
便秘。
目の充血。
めまい。
イライラする。
ご自分でできる対策:
現代社会では精神的ストレスは誰にも避けられないものとなってきています。
そんな状況でも気血の流れが滞らないように日ごろから軽い運動をすることをお勧めします。
運動し始めるまでは
「そんな時間ないし」
「そんな気分じゃないし」
なんて思っていても、動くと案外すっきりするものです。
それこそが、「気が動く」という状態なの。
血の流れが悪いパターン
精神的ストレスが長期化するとお体全体の気血の流れが悪化して血はレバーのようにドロドロになります。
その血が血塊として月経で排出される方もありますが、排出できないほど大きな塊になったり、ドロドロすると刺し込むような痛みにつながります。
こうなると寝ている間に夜間痛も起こってくるので眠りの質が低下します。
よくある随伴症状:
血塊を排出すると痛みが楽になる。
舌の上に血豆のような点がある。
強い下腹部痛。
ご自分でできる対策:
最近はテレワーク、デスクワークが増え、PC作業やスマホ操作時間がどんどん増えて、体を動かさない人が増えています。
動かずにいるとどんどん筋肉が衰え、ますます血が巡らなくなり、痛みが酷くなります。
せっかくPCやスマホをお持ちなら動画に合わせて運動してみませんか?
余分な湿気と熱が停滞したパターン
常に脂っこいもの・味の濃いもの・揚げ物を食べ過ぎたり、お酒を飲みすぎると大小便や汗で排せつできない余剰の湿気や熱がお体に蓄積され、結果、気血の流れを滞らせます。
よくある随伴症状:
下腹部に灼熱感や強い痛み。
経血量が多く、ドロドロ、臭いが強い。
頻発月経傾向。
普段からおりものの量が多くて色は白から黄色、臭いが強い。
便秘または便が硬い。
ご自分でできる対策:
お体に必要以上の湿気や熱を溜め込まないことが大切。
と言ってもどうやって?となりますね。
現代のお食事は昔と比べてカロリーも高め、味付けも濃く、どちらかというと食べすぎ傾向です。
「なんでも昔がよかった」というつもりではありません。
でも昔のような粗食でも人間の体はちゃんと維持できて、今より便利な家電も少なかったのでよく動きました。
せっかく日本や世界中からおいしいものを簡単に手に入れ、食べることができる時代です。
それらを楽しみましょう。
でも必ず運動とセットでね。
冷えのパターン
お体が冷えても痛みはきつくなります。
また血の巡りが悪くなりどんどん経血量が減る傾向になり、つまり排出できない不要な血が溜まってきます。
昔から女性は体を冷やさないように、と言われてきたことにはやっぱり理由があります。
また最近の酷暑ではついついエアコンの効いたお部屋にこもりがちですね。
たまには時間帯を選んで外に出てみませんか?
よくある随伴症状:
冷やすと痛みが増悪。
温めると痛みが寛解。
絞めつけられるような痛み。
手足の冷え。
稀発月経傾向。
下腹部の冷え。
温めると痛みが寛解する。
ご自分でできる対策:
下腹部を冷やさないように腹巻はいかがですか?
最近はアウターに響かない薄手で通気性の良いものも売られています。
おへその下指4本分のところに臍下丹田(さいかたんでん)と呼ばれるところがあります。
ヨガをする方はご存じかもしれませんね。
その左右手のひらぐらいのサイズあたりが冷えているなら、それ以上冷やさないようにしてくださいね。
また、冷えは足元から入ってきます。
職場が冷えすぎている方は靴下やレッグウォーマーもいかがですか?
キッチンやフローリングも案外冷えるのです。
弱りのパターン
過労・加齢・長患いや度重なる出産でお体が弱ってくると気血の量が減り、流れもスムーズでなくなります。
弱りのパターンで顕著なのは月経の後半以降に症状が悪化することです。
たとえ不要になった経血でもお体から出ていくということは、ガソリンタンクが空っぽになりかけている車からポンプでガソリンを抜くようなもの、エネルギーを奪われるのです。
よくある随伴症状:
頭のふらつき。
疲れやすい。
腰や膝がだるく痛む。
倦怠無力感。
ご自分でできる対策:
きっと家事や子育て・介護や仕事、大変なことが多いと思いますが、お体が健康でこそいろいろと楽しいことができます。
今以上無理をしないでね。
薬と副作用
最後にちょっとややこしい話ですが大切なことをお話しさせてください。
聞いてね。
月経時に子宮筋を収縮させるプロスタグランジン(PG)という物質があります。
この物質のおかげで不要になった子宮内膜を経血として排出することができます。
PGは発痛補助物質と呼ばれ、ブラジキニンという発痛物質の働きを強めます。
つまりPGが出ると痛みに敏感になるということですね。
機能性月経困難症の場合、このPGが過剰に分泌されて痛みが強くなることからPGの分泌を抑える薬が多いのです。
ところが、PGには血管拡張作用もあります。
なのにPGの働きを抑えたらどうなりますか?
血がスムーズに流れなくなって発痛物質が蓄積して痛みが増しますね。
またPGは皆さんの胃壁を強酸から守ってくれます。
胃の中はとても強い酸性なのでPGが少ないと胃潰瘍になる可能性があります。
病院で鎮痛剤を処方されると、一緒に胃薬も出されることがあるのはこれが理由なの。
またPGは粘液やアルカリ分泌を増加、粘膜血流量を維持する働きもあります。
血流が悪くなれば発痛物質が蓄積され、痛みが増悪する可能性がありますね。
血の巡りが悪くて月経困難症を引き起こしている場合、服薬で血流を抑える結果となれば負のループです。
私は薬を全否定するわけではありません。
痛くて、辛くて、誰にもわかってもらえなくて、どうしようもない時は薬に助けてもらうのは「あり」だと思います。
ですが薬には副作用があることが多いです。
つまり痛いからといって自己判断で市販薬を勝手に服薬すると、副作用に悩むことになりかねません。
西洋医学のお医者様でも東洋医学をしっかり学んだ鍼灸師でも、漢方薬局で相談するのでもいいので、必ずプロの意見を聞くことが大切だと思います。
月経でお困りの方は以下の記事もご覧くださいね。
いかがでしたか?
東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。
お体も頑張りすぎると回復に時間がかかりますから無理なさらないようにね。
このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあります。
最後までお読みくださりどうもありがとうございました!
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参考:
東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)
燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻