東洋医学で考える便秘、4つのパターン、対処法とお薦め食材

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。

春のみならず一年を通して便秘さんはかなりいらっしゃいますね。

お腹がパンパンであ~苦しい…。

あるいはお腹が張っている気すらもしない人。

慢性化して週末にしか便意が起こらない、なんて人も。

この記事は

  • 便秘で困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに便秘を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

一年を通して便秘の方は多いですが、特に春に増えます。

理由の一つは春に起こりやすい気逆(きぎゃく)という現象です。

気逆ってなに?と思った方、一緒に復習しましょう。

お体は上から下までさ~っと気血が巡っていると健康です。

ところが上った気血が下りなくなることがあり、それが気逆状態です。

なぜ春、気逆が増え、便秘が増えるのでしょう?

春、木の芽時、すべてのものが上へ上へと伸びようとします。

人間も大自然の一部なのでお体の中で「上向きの気」のベクトルが強く働きやすい季節となります。

そのため、口から食べたものが胃から小腸、大腸まで消化吸収された後、排便という「下向きの気」のベクトルが働きにくくなるのです。

毎日食べるのですから毎日排泄できるのが理想ですね。

気逆については以下の記事もご覧ください。

東洋医学で考える機能的便秘の4種類

東洋医学では機能的便秘は大きく分けて4種類あると考えます。

ここでは器質的便秘、例えば腸が詰まっている、細くなっているなど器質的な原因なら腸捻転・腹膜炎・腸重積などの可能性もありますので排除します。

  • 熱秘
  • 気秘
  • 虚秘
  • 冷秘

便秘が酷い場合、一度病院で器質的な異常がないか調べてもらうことも必要ですね。

  1. 特徴や原因
  2. 便の状態
  3. 随伴する症状
  4. 自分でできる対処法
  5. お薦め食材

などを含めて述べますね。

東洋医学に寒熱(かんねつ)という考え方があり、排便にも大きく関係します。

Yin-yang symbol

東洋医学では陰陽のバランスが取れていると健康だと考えます。

お体にちょうどいい量より多すぎる熱(=陽)がある場合と多すぎる冷え(=陰)がある場合、色々な症状を引き起こす可能性があるのです。

寒熱に関しては以下の過去記事もご参考くださいね。

熱秘

  • 特徴や原因

お体が熱に傾いている場合、具体的には辛いもの脂っこいものの食べ過ぎ、過度の飲酒、あるいは精神的ストレスから気が鬱々としてお体の中で邪熱になってしまった場合に便が滞ってしまいます。

また、風邪をひいても便秘になることがあります。

風邪は本来体表面の病気ですが少し深いところに潜り込んでこじらせると食欲低下、便秘が起こります。

  • 便の状態

便が固くて排便しにくい。

排便できたとしても肛門に灼熱感がある。

便の色が濃い。

臭いがきつい。

  • 随伴する症状

イライラ。

尿の量が少なく色が黄色い。

顔面や目が赤い。

腹痛を伴うこともあり、その痛みもきつめ。

  • 自分でできる対処法

食べ過ぎの自覚があるなら控えめに。

ストレスからだな、と思う場合は好きなことに没頭してみるとか、ゆったりお散歩すると下半身が動きやすくなります。

  • お薦め食材

葉っぱ物のお野菜多めのお食事。

南の国でとれるような野菜や果物はお体の熱を冷ましてくれます。

例えばトマト、キュウリ、ゴーヤ、パイナップル、バナナなど。

このタイプの便秘さんには海藻類・蒟蒻やヨーグルトも合うかも。

ただし、後で述べる冷えの便秘さんには向かない食べ物です。ご注意くださいね

ちょっとここで陰陽の話。

陰は水に、陽はお日様に代表されます。

そして陰陽には互いに求め合う、つまり反対の性質を求めあ合う、という働きがあります。

お野菜は総じて陰の食べ物ですが中でも葉っぱ物はお日様(陽)に向かって育ちますね。

なのでお野菜(陰)の中でも特に陰の働きが強くなります。

根菜類はお野菜(陰)ではありますが地中の水(陰)を求めて伸びていきますから相対的に陽の働きを持っています。

ほら、太極図☯には白い部分の中に黒い点があり、黒い部分に白い点がありますね。

その意味は、陰陽は絶対的な決まりではなく相対的なものですよ、ということです。

ややこしかったかしら?

気秘

  • 特徴や原因

特に精神状態と深い関係のある便秘です。

ストレスが多かったり、鬱々と悩んでいたりすると気血はスムーズにお体の中を動けなくなります。

また過度なダイエットで少食すぎるとエネルギー不足になり、人の胃や腸は動かなくてもいいのかな、と判断して活発に働いてくれません。

  • 便の状態

便意をもよおすのに出ないとか、出勤前など気持ちの余裕がないと便意そのものが起こらないなんてことも。

出てくれればバナナ様の普通便なんだけど…なんて。

  • 随伴する症状

よくガスが溜まる。

よくゲップが出る。

旅先など精神的な変化で便が滞る。

口の中が苦い。

脇腹が張る。

女性なら月経前のように乳房が張る。

長期化すると食事量が減ることも。

  • 自分でできる対処法

気が巡りやすいように適度な運動をしましょうか。

  • お薦め食材

柑橘類の香りで気が巡りやすくなります。

セロリや春菊のような香りの良いお野菜もいいですね。

納豆などの発酵食品を夜食べると朝快便、なんて方も。

ただし、納豆に関しては血液をサラサラにする薬を服薬中の方はお医者様と相談してくださいね。

虚秘

不足するものにより便秘にも違いがあります。

気が不足

  • 特徴や原因

慢性病や過労・加齢によりお体のエネルギー不足な方に起こりがち。

便意はあるもののいきむほどの体力が無かったり、排便に至るほど強くいきむことができない

  • 便の状態

便の固さは一定しない。

便の出始めは硬くその後軟便傾向

排便後疲れる

  • 自分でできる対処法

エネルギー不足なのでまず無理をしない

忙しくても食事を抜いたりしない。

一度にたくさん食べられないならこまめに食べてもいい。

  • お薦め食材

一般的にスタミナがつくと言われるうなぎや牛肉・鶏肉や卵、サツマイモやカボチャ、豆類もお薦め。

そもそもエネルギー不足で食べる気がしない方は少しずつ食べられるものをよく噛んでどうぞ。

血が不足

  • 特徴や原因

出産後や長期に渡る不正出血の後起こりがち。

爪が割れやすい。

髪の毛がぱさぱさ、つやがなく、抜けやすい。

  • 便の状態

乾燥コロコロ便傾向。

  • 自分でできる対策

なぜ血が足りなくなったのか、その原因を知ることが大切。

出産が原因なら体力の回復を待ちましょう。

不正出血が原因ならその対策が必要ですね。

不正性器出血に関しては以下の記事もご覧くださいね。

  • お薦め食材

腸を潤すはちみつやイチジク、黒ゴマやクルミ・松の実はいかがですか?

水が不足(陰虚)

  • 特徴や原因

発熱・発汗後や慢性病・過労・加齢によりお体の水分を失ってしまった方に起こりがち。

そのため発症が緩慢で長期化する傾向がある。

  • 便の状態

コロコロ便。

残便感がある。

  • 随伴する症状

頬が赤い。

イライラ。

口が渇く。

寝汗。

やせる

  • 自分でできる対処法

下半身の弱りが原因で上半身、特に頬の紅潮がある方は青竹踏みで足底を元気づけてあげましょうか。

気血が足元まで巡りやすくなります。

  • お薦め食材

ホウレン草・黒ゴマ・黒豆・ピーナッツ・松の実・くるみ・アレルギーがなければ自然薯(漢方薬では山薬とよばれます。)

冷秘

お体が冷えに傾いて腸が活発に動けなくなっても便秘になります。

冷たいものの飲み過ぎ食べ過ぎ、他に加齢でエネルギー不足な方にも起こりがち。

  • 便の状態

時に軟便、ただし排尿過多の場合は便の水分が減るのでコロコロ便になります。

下剤によってはお腹を冷やすので腹痛下痢。

  • 随伴する症状

顔色が蒼白。

腹部の冷え。

尿量が多く透明。

夜間頻尿。

冷たい飲み物・食べ物は嫌、温かいものを好む。

  • 自分でできる対処法

腹巻をしてお腹を冷やさない。

エアコンの季節ならお体を冷やし過ぎない。

そもそも加齢や慢性病で陽気(エネルギー)が少なくなっている状態なら過労しない。

  • お薦め食材

体を温めるもの、にんにく、しょうが、ニラ、山椒、シナモンなど。

特に1番目の熱秘でお薦めした食材は冷秘の方には避けていただきたい食材です。

ご注意くださいね。

以上、機能的便秘についてご参考になれば幸いです。

便秘で下腹部の動きが悪くなると気血は上に突き上げるしかなくなり、気逆を起こして頭痛・肩凝り・耳鳴り・眩暈を招きます。

どうしても排便できないときはゆったり時間をとってお手洗いに座ったり、時計回りに優しくお腹をなでてあげましょうか。

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあることはご了承ください。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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