東洋医学で考える糖尿病と3つの部位

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。

暦、七十二候で「菖蒲華(あやめはなさく)」。

この時期、雨露に濡れながらも凛とした姿が素敵ですね。

いかがお過ごしですか?

今回は誰もが聞いたことのある糖尿病について記事にしますね。

この記事は

  • 糖尿病で困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに糖尿病を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

以下は厚生労働省の健康情報サイトe-ヘルスネットからの抜粋です。

糖尿病とは膵臓で作られるインスリンの作用不足により、
血液中のブドウ糖量が慢性的に高い状態が続く病気。
日本には糖尿病の疑いがある人は約1870万人

(可能性を否定できない人を含む)。
成人の6人に1人に上っているとのこと。
糖尿病
インスリンの作用不足により高血糖が慢性的に続く病気。網膜症・腎症・神経障害の三大合併症をしばしば伴う。

インスリンの欠乏による1型糖尿病と、

遺伝的要素・過食・運動不足などにより発症する2型糖尿病があります。

この記事は、患者数の大半を占める2型糖尿病についてです。

消渇(しょうかつ)

東洋医学では糖尿病を消渇と言い、多飲・多食・多尿を主症状とする病気を指します。

「消」とは痩せるという意味、

「渇」は文字通り喉が渇く、です。

尿崩症を含むこともあります。

痩せたり、尿が濁ったり尿に甘みがある場合もあります。

そしてどこにその「消」が現れるかで、上消中消下消と分かれます。

Fiji
Fiji

余談ですが…。

昔のお医者さんは今のような医療用分析器具がなかったので、尿を煮詰めて味をみた (*_*) という古典の記述があるくらいなんですよ~。

そもそも消渇は高貴なお殿様がおいしいものを食べ過ぎた結果、発症したことが多かったため、お殿様の治療をするお医者さんは命がけだったみたいです(汗)

まず陰陽の復習をしましょうか。

おなじみの太極図です。

Yin-yang symbol

東洋医学では人の体は陰陽のバランスがよく、白黒が50%50%の状態だと健康な状態だと考えます。

水や夜静かじっとしている寝るなど静的なイメージ

太陽や昼活動的起きるにぎやかなど動的なイメージ

陰陽については以下の便秘や寝汗の記事もご参考くださいね。

それから「五臓六腑に染み渡る~」の五臓って聞いたことありますか?

五臓は上から順番にの臓、の臓、の臓、の臓、の臓の五つの臓器です。

肺と心が上半身

肝と脾が中央

腎が下半身にあります。

消渇は上から順番に下に向かって進行し、病が深く重篤になと考えます。

これらを覚えていてくださいね。

上消

上半身、特に肺に熱がこもって口が渇き、大量に水分を欲するようになります。

その結果、頻尿それも尿量もしっかり出る、という状態になります。

肺に熱がこもる原因の中には精神的ストレスが高じて心(しん)が熱で満杯になり、近くにある肺まで押し寄せてきたり、喫煙の影響もありえます。

肺に熱がこもると陰陽バランスが50%50%から崩れて相対的に水が減る、という状態になり喉が渇くわけです。

また、東洋医学では肺が全身に津液(しんえき)という体に必要な水分を全身に巡らせる働きをすると考えます。

ですが肺に熱がこもると水の巡りが狂ってしまうのです。

よくある随伴症状:

喉の渇き。

多飲。

痰が粘っこい

痰に血が混じることがある。

中消

消渇が進行して痩せが始まるまでは過食によって胃に熱がこもっている状態です。

辛いものを食べ過ぎても胃熱がこもります。

例えばカレーを作る時を想像してみてください。

最初にお肉や野菜を炒めてお水を足したばかりの時は、シャバシャバですね。

熱を加えていくとどんどん様子が変化して、あっという間に玉ねぎなどはとろとろになりますね。

油断するとすぐに焦げつきます。

胃の中でも同じようなことが起きます。

食べても食べても胃熱が強くどんどん消化してしまうのです。

ですから食べたばかりでもすぐに空腹になり、また食べる、という悪循環になります。

胃腸の熱が強いので津液もどんどん乾いてしまい、熱が肺にも波及し、次第に枯れたように水分が減り、痩せ始めます。

よくある随伴症状:

口渇。

便秘、または出ても水分の少ないコロコロ便。

口内炎や歯肉炎。

尿の色が濃く、量が少ない。

鼻の周りが赤い。

呼吸が荒い。

下消

多食・多飲が続き、お体が実から虚に転じてきます

つまり、お体のエネルギーが、ちょうどよい状態より、有り余った状態(実)からエネルギー不足(虚)になっていきます。

虚実については風邪の記事もご参考くださいね。

よくある随伴症状:

食べたものの栄養が胃から小腸などで吸収されずに、直接腎臓に流れ込んでくるため、尿が濁ってきたり、油が浮いたような尿になる。

腎の臓で尿をコントロールできなくなり多尿。

喉の渇き。

唇の乾燥。

疲れやすい

手足のほてり。

腰や膝がなんとなく痛い、だるい。

皆さん、よくご存じだと思いますが、糖尿病は初期には症状が出てきにくいです。

健康診断などで指摘を受けても

「まぁ、そのうち何とか…」

とやり過ごしてしまうことが多いです。

進行して別の合併症を併発して初めてことの深刻さに気づく、ということになりがちです。

複数の患者さんが以下のような経緯をたどっています。

現代は飽食、かつ、精神的ストレスの多い時代のため、最初に食べ過ぎ・飲みすぎ・精神的ストレスからお体、特に肺や胃腸に熱がこもります。

⇒ 結果、お体の陰分(いんぶん)が減ると相対的に熱が増え熱や乾燥の症状が現れます。

⇒  長期化することでお体は植物に例えると枯れたような状態になり、体内の水分はたっぷり糖分を含んだままどんどん尿として排出されることになります。

⇒  お体が疲弊してきます。

⇒  陰の不足に続いて陽も減ってきます。

⇒  つまり太極図が小さくなります。

⇒  そのことはその方のお体全体のエネルギー不足を意味します。

⇒  結果、目や耳、全身の筋肉に栄養が届かず、三大合併症である網膜症・腎症・糖尿病性神経障害などにつながっていきます。

病院では治療開始と同時に厳しい食事制限と運動を指導されます。

でも、そもそも簡単に食事の節制や運動ができればそこまで状況が悪化することはなかったかも。

ご自分が糖尿病かも、と思い当たる方は上記の東洋医学的病気の成り立ちを参考にして、ご自分がいまどの段階なのか考えてみると何をするといいか、ヒントになると思います。

東洋医学をきっちり学んだ鍼灸師を訪ねてみてはいかがですか?

例えば上消ならばなぜ肺に熱がこもっているのか、肺の病気なのか、精神的ストレスが原因で熱が生じているのか、などを考慮して肺を潤すような治療をしてくれるかもしれません。

中消ならば、その鍼灸師の先生のご判断で、胃熱はどの程度なのか、胃の熱を清熱(せいねつ)と言って冷ます治療をしてくれるかもしれません。

下消ならばどんな弱りが出てきているのか、どの程度食べることができて、ちゃんと気血が生産されているか、生産されたエネルギーがお体全体にめぐっているのか、など多角的に診ていただき、結果、潤すような治療をしてくれるかもしれません。

症状を消す治療を対症療法と言います。

それはそれで大切な手段ではありますが、例えば血糖値を正常範囲内に薬でコントロールするだけでは不十分です。

糖尿病を発症するまではインスリンが十分だったのになぜうまく作用しなくなったのか、根本原因の解決はとても大切な考え方ですね。

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

お体も頑張りすぎると回復に時間がかかりますから無理なさらないようにね。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあることはご了承ください。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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