東洋医学で考える下痢、8つのパターンと自分でできる対処法

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎 。

前回、便秘について東洋医学的な考え方やご自宅でできる対処法・お薦め食材をご紹介しましたが、今回は排泄つながりで下痢についてです。

便秘に悩む方は

「苦じい~」

「出な~い」

と声高に苦痛を訴える方が多いですね。

でも下痢の方は

出てるんだから、まぁ、いいっか

放置する方が散見されます。

理想は毎日バナナ状の硬すぎず軟らかすぎない一本の便がでること。

ですから毎回下痢という方、ひょっとすると大切なエネルギーが便と一緒に漏れ出ているかもしれません

この記事は

  • 下痢で困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに下痢を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

まず最初に邪気(じゃき)の話

邪気ってなに?と思った方、復習しましょう。

東洋医学では病の原因となるものを邪気(=邪悪な気)と呼びます。

自然界にある邪気は6種類、風邪・暑邪・湿邪・燥邪・寒邪・火邪があります。

  • 風邪(ふうじゃ)は風がさまざまな病気を運んでくるから。
  • 暑邪(しょじゃ)は夏の暑さは人を病気にしてしまうこともあるから。
  • 湿邪(しつじゃ)は梅雨や長雨、海辺やため池の近くなどの湿度の高さが病気を引き起こすから。
  • 燥邪(そうじゃ)は秋に過度に乾燥すると肺の病気などを引き起こすから。
  • 寒邪(かんじゃ)は冬の寒さや夏場でも強すぎるエアコンは気血の流れを滞らせがちだから。
  • 火邪(かじゃ) は暑邪よりもっと暑い状態で、近年の日本の夏は燃え盛る火のようだから。

邪気については以下風邪の記事もご参考くださいね。

その下痢は急性ですか慢性ですか?

西洋医学的区分では2週間以内で治るものを急性、2~4週間以内で治るものを持続性、それ以上続くものを慢性と定義しています。

東洋医学では以下のようなパターンを考えます。

急性下痢

寒さと湿気が消化器系に影響を与えたパターン

冬の長雨に濡れてしまった時や、生ものの食べ過ぎや冷たい飲み物を飲み過ぎた時に体が寒さと湿気に負けてしまって下痢を起こします。

東洋医学ではこのような病因を寒湿の邪気(かんしつのじゃき)と言います。

よくある症状:

腹痛。

サラサラ・シャバシャバの便

生臭い便。

今できること

体を冷やさない

生ものを控える。

冷たい飲み物を控える。

西洋医学的な表現ですが急性下痢にはウィルス性下痢なども含まれます。

暑さが消化器系に影響を与えたパターン

いわゆる暑気にあたった状態でも下痢を引き起こします。

よくある症状:

急な強い腹痛

(邪気が熱の場合、激しい症状が出やすいです。)

排便時に肛門に熱感

臭い便。

黄色に近い便。

尿の色が濃い

口渇。

今できること:

下痢が収まるまではとりあえずお体に熱が籠るような脂っこいもの・甘いもの・アルコールを控えましょうか。

食べ物が原因のパターン

食べ過ぎや傷んだものを食べてしまった自覚がありませんか?

よくある症状:

ゲップやむかつきがある。

腐敗臭のような口臭、または酸っぱい口臭。

未消化物が便に混じることもある。

排便後すっきりする

今できること:

空腹感が出てから消化の良いものを少し食べましょうか。

下痢の後でも胃腸はまだお疲れさん、習慣的にたくさん食べている方も当分腹八分目でね。

慢性下痢

日頃から胃腸が弱っているパターン

よくある症状:

脂っこいものを食べると下痢または泥状便。

脂っこいものを食べれば食べるほど下痢の回数が増える。

お腹の張り

食欲低下。

食後の胃もたれ。

疲れやすい。

長期化しがち。

今できること:

消化の良いものを食べる。

今ならコンビニでレトルトパックのお粥が売られています。

例えば一人暮らしの方でもたまには梅干しとお粥もいいですね。

寝不足しないで。

過労や長患い・加齢によりエネルギー不足のパターン

よくある症状:

明け方にお腹がゴロゴロ鳴って下痢または泥状便

出ると症状は緩解傾向。

体(特に下半身)の冷え。

腰や膝が痛む。

今できること:

これ以上の疲労・過労を避け、十分な睡眠をとりましょう。

胃腸の弱りやエネルギー不足が長期化した結果、体を温める機能が弱っているパターン

よくある症状:

日頃から体、特に下腹部が冷える

夜明け前に腹痛と下痢。

疲れやすい。

腰や膝が痛む。

舌の色は淡く色あせ。

体を温めると腹痛下痢がましになる。

今できること:

冷たいもの厳禁でお願いします!

お体を温めるような食べ物を少しずつ食べましょ。

冷えはお体の下、足元から体内に入ってきます

フローリングのお宅ならスリッパや室内履きを使うといいですよ。

ソックスの重ね履きやレッグウォーマーもお薦めです。

精神的ストレスが影響するパターン

試験や面接、大切な会議の前におなかが痛くなる、なんて思い当たる方、いらっしゃいますね。

よくある症状:

精神的ストレスや緊張が強くなると下痢をする。

おならやゲップが出る。

脇腹が張る。

食事量が減る。

イライラする。

下痢をするとスッキリする。

今できること:

精神的ストレスを緩和するように少し運動をしませんか?

今の時期にお散歩すると途中でネコヤナギに小さな小さな芽が出てきていたり、枯草の下に軟らかそうな新芽が見えたり、心が動きます

楽しいこと・好きなことに没頭して発散しましょっ!

下痢が慢性化して腸の気血の流れが停滞して瘀血化(血がサラサラ流れずレバー化)したパターン

よくある症状:

腹痛部位が移動しない

お腹に手を当てたりするのが嫌。

口が乾くのに水分を飲みたくない。

今できること:

これ以上気血の流れが停滞しないように運動!

楽しいこと・好きなことに没頭しましょっ。

いかがでしたか?

当てはまるものはありましたか?

注意していただきたいのはいつも上記の分類に該当し、その状態にとどまるわけではなく、病のステージは移り変わります

 例えば精神的ストレスからの下痢が長期化(この段階では実傾向)⇒

 いつの間にか瘀血化⇒

 慢性的にエネルギーが漏れ出て⇒

 当初は臭い下痢をしてスッキリしていたのに⇒

 最近では臭いのない水様下痢の後⇒

 ぐったりする虚傾向になることもあります。

この一連の流れは同じ「下痢」という状態でも悪化を示します。

あ、ここで虚実(きょじつ)という考え方のおさらいをしておきましょうね。

人が持つエネルギーがちょうどよい量より少ない状態を、ちょうどいい量より多すぎる状態をと言います。

虚実については以下の記事も再度ご覧くださいね。

以上がざっくりとした東洋医学の下痢の考え方ですが、皆さんの中には

下痢=よくないこと=はやく止めなければ!

という発想の方もいらっしゃるのではありませんか?

A woman with diarrhea

服薬で下痢を止めて必ずしも結果オーライにはなりません

実傾向(エネルギー過多やウィルスが原因)の場合はむしろ排泄で治ります

もちろんお体が虚傾向(エネルギー不足)になってきたら下痢を止めたいのですが、それでもその下痢の根本原因は何か、をいつも考えてみてくださいね。

また、下痢によりお体の水分を失いますから脱水症状にもご注意の上、必要なら水分補給してください。

血便や膿が混じった便が長く続く、排便後にも残便感が強いなどの場合、クローン病や潰瘍性大腸炎などの可能性も否定できませんから病院受診をお勧めします。

それから、最近のお手洗いは洗剤の泡や構造的に排泄物が見えないことが増えてきましたね。

便を汚物ととらえるのではなく、便は皆さんのお体の中がどうなっているかを如実に表してくれるバロメーターとして普段から便の色・形・臭いに注意を払っておくと大きな病気を防ぐことができます。

1日24時間、1年365日有給休暇もとらずに頑張ってくれる皆さんのお体の声を聴いてあげてくださいね。

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあります。

最後までお読みくださりどうもありがとうございます!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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