東洋医学で考える耳鳴り・難聴、5つのパターンと自分でできる対策

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。 

春分の日、近所の大学の卒業式、はかまやスーツ姿の笑顔の卒業生たちを見かけました。

よかった~、コロナでも卒業式、開催されたのね。

皆さん、ご卒業おめでとうございます!

A man listening to the music with his wireless earbuds

そんな若者たちにAir Pods Pro、大人気。他社製のワイヤレスイヤホンも種類が増えました。

性能が良くなっている証ですね。

ノイズキャンセル機能も「めっちゃ集中できる!」「静寂」とユーザーさん。

アクティブノイズキャンセル機能なら外部音も適度に聞こえる、素晴らしいですね。

ただ、若い方の中にも耳鳴り・難聴を主訴に鍼灸治療を希望される方があります。

この記事は

  • 耳鳴り・難聴で困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに耳鳴り・難聴を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

耳と音が聞こえる仕組み

まず耳と音が聞こえる仕組みについて順を追って説明します。

Ear anatomy
  1. 耳は外側の耳介から外耳⇒中耳⇒内耳と分かれていています。
  2. 音は外耳から鼓膜を通って中耳に届きます。
  3. 中耳にある耳小骨(じしょうこつ)で音を30倍に増幅します。
  4. 増幅された音は内耳にある蝸牛(かぎゅう)で電気信号に変換され脳に送られるのです。
  5. そして脳で音楽🎵なのか、騒音💥なのかなどを認識します。
  6. その過程で何らかの原因で電気信号が正しく脳に伝わらないと、
  7. 脳は「音が小さいなぁ~」と判断して、
  8. 聞こえにくい音を過度に増幅してしまったり、
  9. 音が鳴っていない時ですら「音が鳴っている」状態と勘違いして増幅してしまう、
  10. これが耳鳴りです。

耳鳴りは長らく西洋医学的に原因不明でした。

年齢が上がるにつれ患者さんが増えるため、高齢者の病気、うまく付き合っていきましょう、なんて言われていました。(ひどい!)

最近では日本人の10%ほどが耳鳴りを自覚し、耳鳴りのある方の90%に難聴があるというデータもあるとか。

少しずつ西洋医学的にも原因が究明されてきているようです。

また、若い方ではライブや大音量で長時間音楽を聴きすぎると外傷性難聴になります。

人間の耳はとてもよくできていて、聞きたい音や言葉を優先的に選択して聞き取ってくれます

補聴器は便利ですが装着した誰もが

「関係ない音まで拾ってうるさい!」

とおっしゃいます。

耳鳴り・難聴で困らないよう今から大切にしていきましょう。

問診事項

耳鳴り・難聴の治療の際、私ならこんな問診をします。

  • 耳鳴りを感じ始めたころ風邪をひいていませんでしたか?
  • 今、風邪をひいていませんか?
  • どんな音ですか?キーンという高音?ジーというセミの鳴き声みたいな音?
  • 突然耳鳴りし始めましたか?
  • 長い時間かけてなんとなく耳鳴りがするようになってきましたか?
  • はでますか?
  • 痰の色は?
  • お仕事や家事、子育て、お勉強、お忙しいですか?
  • 精神的ストレス、増えていませんか?
  • 長患いしましたか?
  • 腰痛や膝痛ありますか?
  • 胃腸の調子はいかがですか?
  • 毎日普通便がちゃんと出ていますか?

それでは5つの耳鳴り・難聴のパターンを見てみましょう。

風邪のパターン

風邪をひくと鼻づまり、よくありますね。

東洋医学では目、耳、口、鼻、生殖器、肛門を外界に通じる器官を九竅(きゅうきょう=九つの穴)と言います。

鼻と耳はつながっているため風邪の症状が耳に出ることがあります。

よくある随伴症状:

寒気がしたり、頭痛、肩こり、発熱、身体痛などの風邪症状を伴うことがあります。

めまい、吐き気、耳内部のむずがゆさを感じる方もあります。

ご自分でできる対処法:

まずゆっくり休んで風邪を治しましょう。

風邪だけが耳鳴りの原因ならば風邪が治れば耳鳴りも治ります。

精神的ストレスのパターン

よくある随伴症状:

突然発症することが多い。

怒りやイライラに伴い耳鳴りの音が大きく高くなる

頭が割れんばかりの高音になることも。

お口の中が苦く感じる。

耳が脹って痛んだり、わき腹が脹る感じがする。

便秘傾向、出たとしても硬い。

尿の色は濃く、量は少ない。

口が渇く。

ご自分でできる対処法:

怒りやイライラの原因が解決してくれるといいのですが、現代社会に生活しているとそうもいきませんね。

お好きなことは何ですか?

一番は体を動かして、気を動かすことです。

「こんな時に運動なんかしてられない(怒)」

と思うかもしれませんがやってみたら案外すっきりしますよ

痰が原因のパターン

東洋医学では痰は喉だけでなくお体のあらゆる部分に溜まって悪さをする、と考えます。

「わけのわからない病気ならまず痰を疑え」と言われるくらいです。

痰は味の濃いもの・脂っこいもの・甘いものの食べすぎや飲みすぎで余剰の湿気と熱がお体に溜まると発生します。

よくある随伴症状:

両耳にゴーゴー音が聞こえる。

頭重感・体が重い感じがする。

胸に何かが詰まったようなむかむかした感じがしたり、痰が絡んでゼロゼロすることもある。

耳たぶの付け根あたりに腫れぼったい感じがしたり、痛むこともある。

増悪・寛解を繰り返し長期化してすっきりしない。

私の経験上、痰が原因の場合、耳鳴り・難聴症状の強い側の耳のまわりがとくに分厚い感じがすることが多いです。

両手で頬杖をついてご自分の両耳に触れてみてください。

ご自分でできる対処法:

溜まった痰を一気に自分で取り除くことはなかなかできないので、日ごろから食べ過ぎ、飲みすぎに注意して程よい運動を心がけましょう。

加齢・長患いのパターン

加齢や長患いの結果、お体がエネルギー不足になってきて、本来足元にあってほしい生命エネルギーが下半身にとどまっていられず、上半身にふわふわ浮いている感じです。

よくある随伴症状:

セミの鳴くような低音の耳鳴りが多いです。

そもそもエネルギー不足なので音も「頭が割れんばかりの高音」ではなく「聞こえるような、聞こえないような低い音」ということが多いです。

腰や膝の痛みのある方もいます。

頬の紅潮。

手のひらや足の裏・胸に熱感を感じる人もいます。

動くと耳鳴りが悪化、休憩するとましになることもあります。

ご自分でできる対処法:

これ以上エネルギー不足に拍車をかけないようにゆっくり休んでください。

少し元気になってきたら青竹踏みをしてふわふわ上半身に上ってしまった気血を土踏まずあたりに引き下げてあげましょう。

胃腸の不調によるパターン

胃腸がしっかり働いてくれないと食べたものはきちんと血となり肉となることができません。

そのため気血がお体の上から下まで、下から上までサーっとめぐることができないと耳鳴り・難聴の原因となると考えます。

よくある随伴症状:

耳や頭が空虚な感じがする、と訴える方がいます。

食欲低下。

食べると腹脹。

便は軟便や泥状便になることも。

四肢にだるさを伴う人もいます。

休憩すると緩解、動くと増悪することもあります。

ご自分でできる対処法:

胃腸にやさしい消化の良い温かいものを少しずつ召し上がってみましょう。

食べすぎは慎むべきですが、食べない、というのもお体にとって病因(=病気の原因)になります。

突発性難聴について

突発性難聴って聞いた事ありますか?

ミュージシャンの浜崎あゆみさんやスガシカオさんなどが発症を公表していますね。

突然聞こえなくなったり、増悪緩解を繰り返し長期化する方もあります。

発症の仕組みは耳鳴り・難聴と共通の部分もありますが異なる部分もあります。

発症直後に早期治療が奏功することはありますが、浜崎あゆみさんは医師から「回復しない」と告げられたとか。

そんな。。。

耳鳴り・難聴はご自身で気が付きにくいこともありますが、早めに対処するにこしたことはありません。

今は聞こえる人も、耳鳴り・難聴傾向の人も、生まれつき耳がご不自由な人もご両親からいただいたお体全体をずっと大切に使いたいですね。

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあることはご了承ください。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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