東洋医学で考える痒み、6つのパターンと自分でできる対策

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。

スーパーマーケットでは節分の恵方巻の注文を受け付け始めましたね。

今年は124年ぶりに2月3日ではなく2月2日が節分。

この日は文字どおり「ける」、春はそこまで来ている、という日。

春に増える不調を花粉症、頭痛、眩暈とご紹介してきましたが、今回は痒みについてお話させてくださいね。

この記事は

  • 痒みで困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに痒みを東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

この記事では

なぜ痒くなるの?

発症前に何か自分でできることはないの?

発症したらどうしたらいいの?

こんなポイントを含めて東洋医学的に説明します。

前回めまいの記事で五行という考え方をご紹介しました。

復習しましょう。

以下の表の縦の欄「木・春・肝・風」をご覧下さい。

   
象徴的な季節土用
(季節の
変わり目)
関係の深い臓器
影響のある邪気湿

春、影響を受けやすい邪気(=病をひきおこすもの)に「風(ふう)」があります。

風が病気の原因?と意外に思うかもしれませんが、春一番、なんていう突風も吹きますね。

風邪の原因になります。

古来、東洋医学では痒みを「風瘙痒」と呼んでいたという書籍があるくらいです。

五臓六腑や五行説については以下、眩暈(めまい)や嗜眠(しみん)の記事もご覧くださいね。

経絡という考え方

お体には縦横に経絡と呼ばれる気血のルートがあり、五臓六腑すべてを含め全身をめぐっています。

そのルート上にあるのがツボと呼ばれる場所で全身に500カ所以上あります。

まず患者さんの痒みがどの経絡の流れるエリアに該当するか、考えます。

例えば手背には以下の経絡が流れています。

  • 第1指:肺に関係の深い経絡
  • 第2指:大腸に関係の深い経絡
  • 第3指:心に関係の深い経絡
  • 第4指:全身の水の流れに関係の深い経絡
  • 第5指:心と小腸に関係の深い経絡が流れています。

足背には以下の経絡が流れています。

  • 第1趾:肝と脾の経絡
  • 第2趾:胃腸の経絡
  • 第3趾:胃腸の経絡
  • 第4趾:胆の経絡
  • 第5趾:膀胱の経絡
  • 足底:腎の経絡が流れています。

経絡は全身を縦横にくまなく巡っていますが、話をシンプルにするために、今回は手や足だけを例に挙げました。

次に、患者さんには以下のようなことを質問します。

  1. 最近シャンプーや食器洗剤を変えましたか?
  2. 風邪をひいている可能性はありますか?
  3. 痒い場所はどこですか?
  4. 痒い場所を押すとどうなりますか?
  5. 痒い場所はあちこち移り変わりますか?
  6. 痒みはいつ酷くなりますか?
  7. 痒い場所を温める/冷やすとどうなりますか?
  8. 痒い場所を掻きむしってしまったとき出血しますか/肌汁が出ますか?
  9. 痒みと精神的ストレスは連動しますか?
  10. 痒みは食べたもので変化しますか?

最近シャンプーや食器用洗剤を変えたパターン

最近はコロナの影響もあり、消毒剤を使う機会が増え、お肌が弱っている方も多い印象です。

お肌を守ってくれる潤いや常在菌まで失っているかも。

今できること⇒

いったんもと使っていた商品に戻しましょうか。

ゴム手袋を使える方は使いましょうか。

風邪をひいているパターン

東洋医学では風邪(かぜ)は皮膚表面にラップをまいたような状態だと考えます。

そして意外かもしれませんが、痒みを引き起こすことがあるのです。

急に発症しやすく、頭痛・肩凝り・寒気を伴うこともあります。

寒い季節に風邪(ふうじゃ)や寒邪、または長雨の季節に風邪(ふうじゃ)や湿邪が原因となり皮膚表面で気血の停滞を起こし、自力で治ろうとする自然治癒力とその邪気がけんかしているような状態です。

今できること⇒

体力のある方はお体を少し温めて発汗を促すと風邪が治っていきます。

体力の落ちている方無理に発汗させず十分な睡眠を心がけましょうか。

以下、風邪ひきさんの対策記事もご参考くださいね。

精神的抑鬱が強くお体の中で熱化しているパターン

日頃から精神的なストレスが鬱々と溜まっていたり、脂っこいもの・味の濃いものの食べ過ぎ、お酒やジュースを飲み過ぎているとお体の中で邪熱(余分な熱)となります。

痒みの部分を触ると多くの場合熱感があると思います。

言い換えるとお体の中に溜めきれなくなった熱が体表面に痒みとしてあふれ出てくる感じです。

痒み部位を指で押してみて白くなるなら熱は比較的皮膚表面にあると判断します。

痒み部位を指で押してみて赤いままなら熱の量が多く比較的お体の深い部分まで熱があると判断します。

今できること⇒

  その邪熱が精神的ストレスから来てるかも、という場合、

短時間でも好きなことをする。

お散歩など少し運動する。

痒い部分を冷やして楽になるなら、せっかく出てきてくれた邪熱を塗り薬を塗って再び閉じ込めるより、濡れタオルを当てて熱を取ってあげませんか?

  その邪熱が飲食から来てるかも、という場合、

葉物のお野菜多めのお食事にする。

揚げ物や味の濃いものは控えめにする。

お酒は痒みが治まってからのお楽しみにとっておく。

特に掻いた後に肌汁が出ている場合、多くはお体に湿気(お酒?ジュース?)が多い可能性大です。

入浴でお体を温めて痒みが悪化するなら熱が原因であることが多く、濡れタオルで患部を冷やしてあげると楽になることが多いです。

逆に冷やして悪化するなら冷えが原因であることが多く、風邪の可能性が高くなりますからその場合、冷やすのはNGですね。

Feverish man

余分な熱が原因の場合、なかには発熱する方もあります。

発熱と聞くと嫌ですね。

でも、お体にとっては要らない熱を発散出来て元気になる発熱、というものもあります。

ただし発熱は100メートルを走ったくらい体力を使いますから、発熱後に無理は禁物です。

血が瘀血(おけつ、レバーのようにドロッとしている)化しているパターン

慢性的に痒み部位を掻き続けた結果、皮膚組織が傷ついたり肥厚したりして血行が悪化してしまい、痒みの部位は移動せず固定お肌の色が沈みがち。

今できること⇒

多くの痒みは気血の流れが停滞していると起こりやすいです。

舌の裏側の舌下静脈が太くなっていることが多いです。

お好きなことをしたり、積極的に体を動かしてみましょうか。

血が不足しているパターン

ご高齢の方、長患いの後など虚弱体質の方に多いです。

また貧血傾向の女性の月経後半に出ることがあります。

肉体疲労で痒みが悪化したり、こむら返りを起こしやすかったり、気力が無かったり、夜間に痒みが増す、不眠傾向などを伴うことがあります。

今できること⇒

今以上に疲れないようになさってくださいね。

胃腸が弱く皮膚が弱っているパターン

東洋医学では皮膚は肺との関連が深いと考えるのですが、飲食に偏りや乱れがあって胃腸が弱っていると衛気(えき)つまり皮膚表面の防衛力が弱る、と考えます。

衛気は耳慣れない言葉かもしれませんね。

以下でで説明します。

今できること⇒

お餅、おかき、生もの、脂っこいものなど胃腸に負担のかかる食べ物を控えるといいです。

それから胃腸は精神的ストレスの影響も強く受けますから自覚のある方は趣味や運動をして発散できるといいですね。

ちょこっと一言、衛気について

誰かにハサミを貸して、といって受け取るときに尖端がこちらを向いていたら嫌な感じがしますね。

急須の注ぎ口がこちらを向いていてもなんだか落ち着かない…、という経験がありませんか。

実はその人のお体の皮膚表面から10㎝ぐらいはその人の衛気が働いていて守ってくれているのです。

胃腸が弱ると衛気も弱り、皮膚にトラブルが起こりやすくなります。

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

人間も大自然の一部です。

3月5日の啓蟄を控え、地中から虫が這い出して来るがごとく、お体から余分なものが発散されてくることがあります。

痒くてイライラ、熟睡できずに辛いですね。

ただ、せっかく出てきたものを塗り薬などで押し込めてしまうことは、後々別の場所に別の症状として出てくる可能性があると心のどこかで覚えていてくださいね。

ご自分のお体は何が原因で痒みを発症しているか、お体に聞いてみてあげてください。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあることはご了承ください。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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