東洋医学で考える寝汗、5つのパターンと自分でできる対策

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。

ぽかぽか陽気に誘われて樹木が芽吹く時期。

若葉の下、ちょっぴり大きめサイズの制服を着た学生さんを見かけます。

初々しくていいですね❤

今回はちょっと意外に思われるかもしれませんが寝汗についてです。

先日、友人が

太郎くん
太郎くん

冬のパジャマがあったかすぎて寝汗かいちゃった。

が、私は即座にピン!ときました。

Fiji<br>
Fiji

ん?

違うかも…。

彼の顔に疲労の色が見えたからです。

この時期なら暑すぎず、寒すぎず、そんなに大汗をかくことは少ないはず。

読者の方の中にも

「寝汗をかいちゃった、どうして?」

っと不思議に思っている方がいらっしゃるかもと思い、記事を書くことにしました。

この記事は

  • 寝汗で困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに寝汗を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

寝汗とは?

健康な人でも一晩寝ている間にコップ一杯分ほど汗をかくといわれています

ですが、寝汗とはその生理的発汗の正常量を超えて、例えばパジャマを着替えなければ、と思うほどの発汗をさします。

暖かすぎるお部屋、パジャマ、電気毛布の利用による影響や解熱する過程での寝汗はここでは除外します。

東洋医学では寝汗のことを盗汗(とうかん)と言い、眠っている間に発汗し、目が覚めると止まるものをいいます。

汗は津液(しんえき、=お体の大切な水分)の一種で、大切なものを盗んでしまうほどのものだよ、というネーミングですね。

問題なのは盗汗で津液を失うだけでなく、同時に気(き、=生きるエネルギー)も一緒に漏れ出てしまうことです。

つまり、体内に留めておきたい大切な生命エネルギーも漏れ出てしまうのです。

ですから盗汗後、起床時から疲労倦怠感のある方もいます。

陰陽について

まず盗汗を考える際に重要な陰陽という考え方を復習しましょう。

  • 静か
  • じっとしている
  • 寝る
  • 女性など

というイメージ。

  • 太陽
  • にぎやか
  • 活動的
  • 起きる
  • 男性など

というイメージです。

以下の記事でも陰陽について触れていますのでご覧くださいね。

太極図

Yin-yang symbol

こんな図をご覧になったことがあると思います。

陰陽を考える時に大切な図で、太極図(たいきょくず)と呼びます。

東洋医学的思想が根づいている韓国の国旗にも描かれていますね。

お体は、黒と白の部分で示される太極図のように陰陽が50%50%の割合だとバランスがよく健康な状態です

例えば夜に寝るという行為では、

夜=陰の時間に静かにじっとしていることにより陰のエネルギーを養います。

ところが昼夜逆転の生活をしていると陰が養われません。

寝る直前までスマホを観たりPC作業をしていると脳がいつまでも活性化して陽の働きが強くて眠気が訪れません

また、日中、肉体労働をしすぎて発汗過多になってもお体の水分が減ります。

そういった状態を陰虚(いんきょ、=陰が少ない)と言います。

太極図で言うと黒が20%、白が80%みたいな感じです。

お体は陰陽のバランスが取れていると健康だと言いましたが、陰(=水)が少ないとお体の陽(=熱)が増えすぎ枯れてきます

誤解を恐れずに言うと、人はだれでも年齢を重ねると細胞中の水分が少なくしわが増えます。つまり枯れてきているのです。

さて、盗汗の東洋医学的分類の話を続けましょう。

衛気(えき)が弱ったパターン

太郎くん<br><br>
太郎くん

衛気ってなに?

Fiji<br>
Fiji

衛気はね、外界からのウィルスや細菌などの病邪が、入ってくるのを防ぐ皮膚の働き働きなの。

夜、寝るときには皆さんお布団をかけますね。

日中にはお体の衛気がしっかり働いてくれて外敵から体を防衛してくれます

が、夜になると衛気は体内の深いところに沈んでいくため、働きが弱くなり、外敵から身を守りにくくなるのです

だからお布団をかけてお体を守るのですね。

衛気がうまく働かないため汗が漏れ出てしまう人がいます。

胃腸の弱い方に多いです。

衛気が弱っていると風邪をひきやすく、盗汗が起こりやすいです。

ただし、発熱後解熱の過程で発汗するのは盗汗とは異なります。

衛気については以下の記事もご覧くださいね。

対策:

普段から胃腸に負担をかけないように規則正しく食事をとりましょう。

無理なダイエットはしないでね。

味の濃いものや脂っこいものを食べ過ぎない、お酒を飲みすぎない、など

「調子はどう?」とご自分の胃腸と常に会話してくださいね

え?これだけ、と思うかもしれませんが案外できないことが多いのです。

お体の水分が減って内熱が有り余ったパターン

先ほど陰陽の話で触れましたが、お体の中に水分が減ってくると、お体の熱を冷ましてくれるはずの水が減るわけですから内熱が増えすぎます

すると、お体の状態を一定に保つ恒常性と言う仕組みが働き、発汗して体温を下げようとします

程よい発汗なら生理現象ですが、そもそもこのタイプの方は内熱が多すぎるので発汗も過度になりがち。

大切な生命エネルギーが漏れ出ます。

太郎くん
太郎くん

え?

もしかして僕?

よくある症状に上半身や頬のほてり、手のひらや足の裏が熱くお布団から出したい、起床時に喉が渇いたりします。

午後になったら発熱してくる人もいます。

水不足ですから便秘がち、出てもカチカチ、コロコロ、という方も多いです。

女性なら月経不順も起こりがち。

男性なら夢精・滑精が起こることもあります。

対策:

普段から日付が変わる前に寝ることで陰を補うようにしてください。

お勧め食材は黒豆・黒米・キクラゲなどの黒い食べ物、納豆・オクラ・山芋などねばねばしたものを取り入れてみるといいですね。

太郎くん
太郎くん

了解!

精神的ストレスや心配事が多くて心血(しんけつ)が足りないパターン

東洋医学では精神的ストレスや心配事が多く悩みすぎると心血が消耗すると考えます。

また、緊張すると手のひらに汗をかいたり、ドキッとすると冷や汗が出たり、心の様子と汗はとても関係が深いのです

よくある症状としては眠りが浅くなったり、頻繁に夢を見る人もいます。

健忘、動悸・息切れ・不安感を感じる人もいます。

顔色や下瞼の裏側が白っぽい人もいます。

対策:

一度に大量に一種類のものを食べるより、何度かに分けていろいろなものを少しずつ召し上がるのがいいですね。

旬の食べ物には栄養成分が豊富に含まれています

血を増やすような食べ物、例えば色の濃いお野菜、ニンジン・ホウレン草、豚レバー・鶏レバーなどを積極的に取り入れてみましょうか。

現代社会では精神的ストレスは避けて通れないものですが、少しでも楽しいことをしたり、考えたり、笑ってみませんか?

以上は虚型(エネルギー不足)の盗汗でしたが、以下は実型(エネルギー過多)のパターンです。

精神的ストレスが多く内熱が火になって燃え盛っているパターン

普段からイライラしたり、目が充血したり、激しい頭痛やキーンという高音の耳鳴りがしたりする人が多いです。

夜寝ていても絶え間なく寝返りをうったりします。

お体の中に熱を保持できなくなって汗と一緒に体外に出しているのですね。

対策:

精神的ストレスが溜まるとしんどいなぁ~、と感じると思いますが、このパターンの方は実は動いたほうが楽になるのです。

ぜひお散歩や運動をしてください

そんな気持ちの余裕ないよ、と思っても意外と運動後に後悔しませんよ。

飲みすぎ食べ過ぎでお体に湿気が多すぎるパターン

大量にお酒を飲んだ夜は夜中にお手洗いに目が覚めることもありますね。

ですが、排尿ではなく盗汗が起こる場合もあります。

対策:

適度な飲酒は気が巡りやすくなるので全面的に止める必要はありませんよ。

でもたまには休肝日を設けたり、発汗するような運動をしてみてください。

こういうタイプの方は軟便が出る方が多いので、一つの目安ですが普通便になればお体の多すぎる水分が正常になってきたかも、と考えてもいいですね。

いかがでしたか?

何はともあれ盗汗の後には脱水症状を防ぐため水分補給が大切です

上記の通り盗汗はお体の弱りを示す場合もあります

不自然なくらい続いたり、寝汗をかいた後ぐったりするようなら病院受診や東洋医学をきっちり学んだ鍼灸師さんのいるところで治療を受けてみてくださいね。

お体も頑張りすぎると回復に時間がかかりますから無理なさらないようにね。

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあります。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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