こんにちは、Fijiです🐎。
前回に引き続き汗、今回は日中の汗についてです。
真夏の汗と違って、春先の時期の汗は臭いが強くなることがあります。
また一方で新学期や新しい職場で緊張する場面も多くなり発汗量が増え、実は春には汗でお困りの方が増えるのです。
この記事は
- 発汗で困っている。
- 薬に頼らず、根本治療したい。
- 東洋医学や鍼灸に興味がある。
- どんな考え方で治療するの?
- 自分でできる対策はあるのかな?
とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。
Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。
日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。
「汗かいてなんだかいやだなぁ~」
私がどんなふうに発汗を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。
そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。
汗について
人には体温を一定に保つ恒常性という仕組みがあり、発汗することで体温調節してくれます。
健康な人でも外気温が上がりすぎると汗をかいて体外に熱を放出します。
また、熱いものをふぅふぅしながら、あるいは辛い物をヒーヒー言いながら食べたり、面接やプレゼンの前に緊張しても発汗します。
ところがこの発汗量が多すぎて気になるほどなら、原因を考えてみることで悩まずにすむ場合があります。
汗は基本的に99%が水分で多くの場合、無臭と言われています。
でも、冬、ほとんど汗をかかずに過ごすと体の中に老廃物が溜まっています。
その上、冬の間汗腺を使わずにいると、汗腺のろ過機能が低下しています。
すると汗の中に若干含まれる塩分やミネラル分と皮膚表面の垢や皮脂とまじりあい、これを雑菌が分解する際に臭いを発することがあるのです。
また、冬の間汗腺があまり働いていなかったため、ろ過作用が落ちていることによりねばねばした蒸発しにくい汗が出ます。
汗の排出ルートにはエクリン腺とアポクリン腺という2種類あります。
エポクリン腺⇒ | 全身の皮膚表面200万~500万か所に存在 | 体温調節の汗 無色無臭の汗 |
アポクリン腺⇒ | わきの下、下腹部、乳頭などに存在 | 乳白色の汗 ほぼ無臭 |
緊張したときにはエクリン腺・アポクリン腺両方から発汗しますが、温度調節のためエクリン腺から出る汗と比べてアポクリン腺から出る汗はたんぱく質やミネラルを含んでいるため臭いが強くなりがちなのです。
東洋医学的には主に以下のパターンを考えます。
肺が弱っているパターン
東洋医学的では肺が皮膚表面にバリアを張って外部から身を守る働きをすると考えます。
このバリアを衛気(えき)と呼び、衛気が毛穴の開閉をコントロールします。
よくある症状:
肉体疲労に伴って体力が落ち、毛穴のコントロールがうまくいかずに発汗量が増えます。
そして汗で湿った衣服を身に着けているところに冷たい風を受けると風邪をひきやすくなります。
慢性的な咳が出る方もあります。
咳をすると思いのほか体力を使うので体が弱ります。
もともと体が弱い人や喘息が長引いて発汗する人もいます。
浮腫みの出る方もあります。
対策:
肺の弱りには辛みの強いコショウやからしなどの香辛料、ニンニクやショウガなどの薬味は控え目がいいです。
喫煙は肺に負担をかけますからご注意くださいね。
日ごろから肺がしっかり動けるように腹式呼吸をして深い呼吸ができるようにしましょうか。
衛気については前回の寝汗(盗汗)や痒みの記事もご覧くださいね。
お体全体と衛気(えき)が弱っているパターン
よくある症状:
胃腸の弱りです。
人は飲食物から気血を生み出しますが、胃腸が弱いとそれができません。
ひいては皮膚表面のバリアである衛気が弱ります。
対策:
日ごろから暴飲暴食はなしでね。
ジャガイモ・サツマイモ・山芋、アスパラガス、枝豆、カボチャ、アボカドなどを積極的に取り入れてみましょうか。
胃腸が丈夫でない方は、冷たいものや脂っこいものは避けたほうがいいです。
それからいろいろ思い悩んで胃腸がキリキリ、あるいは膨満感の出る方もあります。
思慮過度(しりょかど)と言って、東洋医学では思い悩みすぎることは胃腸を弱らせる病因の一つと考えます。
お体の水分不足で体内に熱が多すぎるパターン
過労や加齢に伴ってお体の水分量が減り、枯れたような状態になります。
上がりすぎた体温を下げてくれるはずの水分が少ないため、お体の中に内熱が多くなります。
その内熱を漏らそうと発汗量が増えます。
このパターンで発汗が続くと汗とともに生命エネルギーも漏れ出るので疲労が加速します。
よくある症状:
頬の紅潮。
夕方になると微熱の出る方もあります。
手のひらや足の裏の熱感。
口渇や便秘、出てもコロコロ便の方もいます。
対策:
山芋・オクラ・納豆などねばねばした食材、黒豆・黒米・海藻類など黒い食材を積極的に取り入れて、ゆっくり休んでくださいね。
お体に余分な湿気や熱が多すぎるパターン
塩辛いものや脂っこいもの・味の濃いもの・甘いものの食べ過ぎ、過度の飲酒によりお体の中に余分な湿気と熱がこもります。
よくある症状:
熱を逃がそうとべたべたとした汗をかきます。
お体が湿気ている方は手のひらや足底に汗が多くなります。
対策:
ゴーヤ・きゅうり・トマト・パイナップルなど南の国の野菜や果物は、熱を取ってくれるので積極的に取り入れるといいです。
発汗するような運動を取り入れるのもいいですね。
テレワークが増えてからサウナ愛好家が増えてるみたい❤
若くてよく食べ、よく飲むかたに多い印象かな。
発汗するとお体の余剰の湿熱が取れることを、きっと無意識のうちに実感しているのかも。
精神的ストレスが原因のパターン
新しい学校や職場で慣れない作業や人間関係のストレスが増えるほどに汗が増えることがあります。
面接やプレゼンの前に汗が増える方もありますね。
日本語には「手に汗にぎる」という表現もあるくらい。
よくある症状:
精神的ストレスや緊張に伴って蒸すような汗が増えます。
ブラウスやワイシャツのわきの部分が黄色く変色する人もいます。
顔面が紅潮して熱く感じる人、口が苦い人もいます。
尿の色が濃い黄色の人、舌上の苔が黄色っぽい人がいます。
対策:
東洋医学では汗は心の状態と関連が深い、と考えます。
社会人ならストレスや緊張は避けて通れませんが、適度な息抜き・運動をして発散するのがいいですね。
特に寒い冬の間、汗腺の活動が鈍っていますから軽い運動で発汗を促し、汗腺を鍛えてあげるといいです。
いきなり激しい運動をすると汗腺のろ過作業が追い付かないことがあります。
ですから春先は軽い運動のほうが良い汗をかくことができます。
そしてこの季節は一日の中で朝晩と日中の気温差が大きいです。
発汗後は毛穴が開いて風邪をひきやすいためすぐに着替えるようにしてくださいね。
葛根湯(かっこんとう)の服用しすぎにご注意!
葛根湯は素晴らしい風邪薬です。
ところが外箱に「頭痛・肩こりに効く」と書いてあるため、風邪の初期症状としての頭痛・肩こりではない方も頻繁に服薬している場合があります。
葛根湯は発汗させて風邪を治す薬で、過度に使うと関係ないときにも発汗しやすくなる人がいます。
漢方薬は副作用が少ないとお考えの方もいますが、薬は薬、飲みすぎ注意です。
上記のとおり発汗はお体の弱りを示す場合もありますし、お体がさらに弱っていく原因になることもあります。
甲状腺機能亢進症や脳梗塞の前兆である可能性もありますから、発汗以外にお体の不調があったり、不自然なくらい発汗が続いたり、ぐったりするようなら病院受診や東洋医学をきっちり学んだ鍼灸師さんのいるところで治療を受けてみてくださいね。
いかがでしたか?
お体も頑張りすぎると回復に時間がかかりますから無理なさらないようにね。
東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。
このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあることはご了承ください。
最後までお読みくださりどうもありがとうございました!
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参考:
東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)
燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻