東洋医学で考える排尿障害(出ない編)と自分の症状はどのパターン?

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。

前回は排尿障害(出るんだけど…編)、排尿できるんだけど漏れる、滴る、多すぎる、尿切れが悪い…などについて書きました。

今回は排尿障害(出ない…編)排尿できなくて痛い、苦しい、という方に向けて書きます。

排尿障害と言うとご高齢の方の病気と言うイメージを持つ方もいらっしゃるかと思いますが、若い人にも起こります。

前回の排尿障害(出るんだけど…編)以下の記事もご覧くださいね。

この記事は

  • 排尿障害(出ない)で困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに排尿障害(出ない)を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

排尿障害(出ない編)には大きく分けて3パターンあります。

それぞれどんな東洋医学的原因が考えられるかお伝えします。

どんな病でも放置していいことはありませんが、排尿障害は特にのんびりしていられません。

尿として出されるべき毒素や老廃物が排出できず、意識障害すら引き起こす可能性があるからです。

自己判断で放置しないようにしましょう。

かくいう私も鍼灸師になる前に尿路結石で救急搬送された経験が4回もあります。

激烈な痛みで尿意があるのにポタリともでず、そうこうしているうちに吐き気がしてくるものの嘔吐できず七転八倒、そして大量の発汗、それもアンモニア臭のする汗、尿が毛穴から出た感じで最後に下痢をして治りました。

結石が尿路を完全に塞いでいたにもかかわらず、最終的に出るべきだった尿は便に混ざって排出、人間の体のすばらしさを感じずにはいられませんでした。

今回も見出し1~3にあえて東洋医学の専門用語を残しています。

理由は、繰り返しになりますが、漢字はアルファベットと違い一文字ごとに意味を持っているため、日本の方には症状をイメージしやすいかな、という老婆心。

ぜひ、離脱せずにお読みいただけると嬉しいです。

淋証(りんしょう)

一番の特徴は排尿時に刺すような痛み、脇腹から骨盤にかけて締め付けられるような痛みを伴うことが多く、頻繁に尿意をもよおすものの少量しか出なかったりしずくが滴るような感じ。

ただし尿の生産ができないというわけではなく一日の尿生産量は正常です。

西洋医学的には膀胱炎・尿路結石・前立腺肥大症と診断される人もいます。

血尿・濁った尿が出る人もいます。

膀胱に過度の湿気や熱が溜まったパターン

過度の飲酒、脂っこいもの・辛い物・熱に傾いた食べ物・甘いものを食べ過ぎた結果、膀胱に余分な湿気や熱が溜まり尿がドロッとして排出しにくくなります。

陰部を清潔に保てずに炎症を起こしてしまった結果でこの症状が出る人もいます。

東洋医学では淋証は体内、特に膀胱内で熱が多すぎると尿が濃縮され、色も濃く、量が減ると考えます。

さらにこの状態が長期化すると尿に含まれる様々な物質が結晶化して石になると考えます。

その熱がきつすぎれば排尿時痛を伴う血尿になると考えます。

膀胱内で余分な湿気が停滞すると膀胱機能が低下して汚濁な物質の混じった油っぽい尿が出ると考えるのですね。

カレー作りを想像してみてください。

野菜やお肉を炒めた後に水を加えた段階ではシャバシャバですが、熱を加え続けるとドロッとしてきて、それでもコトコト煮つめているとあっという間に焦げてしまいますね。

同じことがお体の中で起こります。

精神的ストレスが原因のパターン

怒りや緊張、悩みなど精神的ストレスが続いた結果、気血がお体中をさ~っと巡ることができない状態が長期化すると火になると考えます。

この火の熱が膀胱に影響すると淋証となり尿が出渋ります。下腹部に膨満感が出たり、排尿時痛や排尿時陰部にに灼熱感を引き起こすこともあります。

腎の臓の機能低下と消化器系の弱りパターン

慢性病や高齢・過労によりお体の力が弱ってしまった結果、消化器系や腎臓の働きが低下して淋証を起こします。

過労により悪化、尿切れが悪く滴ることもあります。

癃閉(りゅうへい)

癃は発症が緩やかで尿が出にくくぽたぽたと滴る感じ。

閉は急に発症、尿道が閉塞してしまって全く尿が出ません

両者が同時に起こる場合もあるので癃閉と呼びます。

一日の尿量が少なく浮腫みを伴う場合があります。

余分な湿気と熱が原因のパターン

お体の余分な湿気と熱が体幹から下半身に停滞し、膀胱機能を阻害してしまった結果、排尿困難・排尿時痛・尿意切迫感を引き起こしたり、排尿できないので何度も尿意を感じることになります。

肺に過度な熱がこもったパターン

東洋医学では体内の水のめぐりに肺がとても重要な役割を果たすと考えます。

前回の排尿障害の記事でもお伝えした通りです。

肺に余分な熱が停滞し働きを障害した結果、尿が出にくくなる人がいます。

咳が出たり、息苦しい、と訴える人もいます。

便秘傾向になることもあります。

精神的ストレスが原因のパターン

精神的ストレスが原因でお体全体の気血の流れが停滞し、排尿にも問題を起こしてしまいます。

イライラしたり、お口が苦かったり、ゲップが出たり、脇腹が脹る人もいます。

尿路が詰まったパターン

尿が出てゆくルート上に瘀血(おけつ、レバー状の血塊)や石、できものができて塞いでしまい排尿困難になります。

下腹部が脹って痛むことがあります。

腎の臓と消化器系の弱りパターン

慢性病や高齢・過労によりお体の力が弱ってしまった結果、消化器系や腎臓の働きが低下して癃閉を起こします。

過労により悪化尿意があるのに出ない、尿に勢いがない、尿切れが悪く滴ることもあります。

小便不利(しょうべんふり)

尿量が少なく出ずらい状態。

意外に思われるかもしれませんが、風邪をひいても排尿障害が起こります。

毎度おなじみ、以下の風邪の記事もご覧くださいね。

風邪をひいたパターン

風邪(ふうじゃ)が肺を襲い、風邪ひき状態。

下半身にある膀胱まで水が回らない結果、尿量が少なくなることがあります。

体内の水のめぐりに肺がとても重要な役割を果たすため、肺の病気である風邪でも排尿障害がおこります。

下半身に水が下りないことから瞼に浮腫みが出ることがあります。

手足に浮腫みが出る場合もあります。

発熱したり、咳がでたり、風邪症状が出ることがあります。

外界の多すぎる湿気や高い気温が原因のパターン

湿熱邪(しつねつじゃ、例えば蒸し暑い季節)がお体に入り込んで水のめぐりを悪くしてしまいます。

尿が濃く量が少なくなります。

口が乾くのにその割に水分を飲めない、むかむかする、お口が苦い感じがする、などの症状が伴うこともあります。

湿熱邪ってなに?と思った方、邪というのは病気の原因となるものです。

この場合は多すぎる湿度と熱気ですね。

邪気については以下の記事もご覧くださいね。

精神的ストレスが原因のパターン

精神的ストレスがお体の気血水のめぐりを阻んだ結果尿量が減ります。

イライラしたり、脇腹が張った感じがする人、ゲップが出やすくなる人もいます。

風邪の影響で消化器系が弱ったパターン

過労したり、風邪(ふうじゃ)が消化器系を襲った場合に起こります。

締め付けられるような頭重感の出る人や体の重だるさを感じる人もいます。

腹部膨満感を伴うことがあります。

腎の臓の冷えパターン

慢性病や高齢によりお体の温める力が弱ると膀胱機能に支障が出て尿量が減ります。

寒い季節でなくても寒がったり、顔色が青白かったり、咳が出ることもあります。

腰痛を訴える人もいます。

お体の水分不足パターン

精神的ストレスが高じたり、過労・加齢で体の中が熱傾向になり、水分が減少してしまい尿量が減ります。

頭痛・耳鳴り・眩暈の出る人、足腰の弱りを感じる人、浮腫みが出る人があります。


皆さんに当てはまるものがありましたか?

症状の羅列で面白くなかったかしら?

以下の対策は前回の記事同様ですが、最初に述べたように「尿が出ない」のには迅速な対応が必要です。

自己判断なさらないでね。

対処法

ご自分の症状が風邪からならまず風邪を治しましょうね。

冷えが原因ならそれ以上冷やさず暖かくしてお過ごしくださいね。

過労が原因なら少し休憩しましょうか。

現代社会の一員として避けられない精神的ストレスが原因なら、ほんの少しでもいいのでご自分の心が楽になるような好きなことに打ち込んでみましょうか。

のんびりお散歩、そんな気持ちにならない、っておっしゃるかもしれませんが、やってみて後悔することはないかもしれません。

 

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあることはご了承ください。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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