東洋医学で考える痩せ、5つのパターンと自分でできる対策

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。

二十四節気の7月22日大暑から8月7日立秋までが一年中で最も気温の上がる時期です。

皆さん、いかがお過ごしですか?

外回りの営業さんのスーツにマスク姿を見て、

あるいは宅配のドライバーさんが走る足音を聞いて、

この気温、勘弁してあげて~、と言いそうになります。

あまりの暑さに食欲が落ちている方、痩せてきてしまっている方が出てきましたので今回は痩せについて記事にしますね。

この記事は

  • 痩せて困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに痩せを東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

消痩(しょうそう)

東洋医学では体重が異常に減少することを消痩と言います。

異常に、です。

今回のテーマはダイエットをして痩せたい方へではなく、痩せて困っている、という方への記事です。

痩せたい方は前回の肥満の記事もご参考くださいね。

厚生労働省のe-ヘルスネットによるとBMI18.5未満を痩せと考えるようです。

BMI=体重(㎏)÷身長(m)の2乗

BMI
[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値。肥満や低体重(やせ)の判定などに用いられる。
  • バセドウ病・糖尿病など内分泌障害、
  • クローン病・潰瘍性大腸炎・悪性腫瘍など消化機能障害、
  • 神経性摂食障害、
  • 投薬・下剤の影響などで、

痩せることがあると知られています。

復習になりますが、

東洋医学では身長○○センチで体重○○キロだから肥満、痩せという考え方はしません。

あくまでもその身長に対してその体重だと陰陽バランスが崩れて健康上の問題を引き起こしているときに肥満や痩せの治療対象だと考えるのですね。

東洋医学では病を診るときいつも八綱という大切な8つのポイントを考えます。

それが表裏・寒熱・虚実・陰陽です。

風邪・花粉症・疲労・排尿障害の記事もご参考くださいね。

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第一に表裏では、風邪をひいていないか。

第二に寒熱では冷えの病気なのか、熱の病気なのか。

第三に虚実では虚(=エネルギー不足)なのか実(=エネルギー過多)なのか。

最後に陰陽では陰の病気なのか、陽の病気なのか考えます。

それではどんなパターンが消痩を引き起こすか見てみましょう。

消痩はある日突然発症するわけではないので、最初の「風邪をひいていないか」という項目は除外できますね。

ただ、短期的に大きく体重が減少した場合原因は把握しておく必要があります。

そして、お体が熱に傾いているのか、冷えに傾いているのか、様々なパターンがあります。

次に虚実を考えます。

すると以下のような虚のパターン、実のパターンがあります。

気が漏れ出てエネルギー不足のパターン

特にこの暑い時期、お体は体温を一定に保つため発汗します。

その汗が適量だといいのですが、あまりにも汗が漏れ出すぎてしまうと大切な「気=エネルギー」も漏れ出てしまいます

そう、「元気」、「気力」、「やる気」の「気」です。

東洋医学では、気はすべての根本=大切なものだと考えます。

ほかに過度なダイエットや断食でも栄養が足りなくても「気」が不足します。

よくある随伴症状:

疲れやすい

息切れ。

食欲不振。

食べたとしても食後に膨満感

軟便~泥状便

顔色が沈んだ黄色。

ご自分でできる対策:

汗をかきすぎてエネルギー不足になっているなら外出は控え目、あるいは少しでも涼しい時間帯を選んだり、エアコンを上手に使って過度な発汗をせずに済むようにするといいですね。

また、発汗で脱水状態になっているかどうかはご自分の腕の皮膚を引っ張ってみてください。

さっともとに戻ればいいのですが、みゅ~っと伸びたまま皮膚がなかなか戻らないなら脱水傾向かも。

取り急ぎ経口補水液を飲んでみて、それでは収まらないほど酷ければ病院受診を考えたほうが安全です。

気も血も不足しているパターン

皆さん、「気血」という言葉を聞いたことがあると思います。

全身くまなく血が巡る際必ずその前に「気」が巡っていなければなりません。

「気」と「血」はセット

気が少なくなると一緒に体内を巡るはずの血も巡らなくなります。

結果、血虚(けっきょ)と言って血が不足する状態となり、さらにエネルギー不足になります。

An anemic woman

よくある随伴症状:

疲労倦怠感

顔色が艶のない黄色。

動悸

不眠

夢をよく見て眠りが浅い

頭のふらつき。

舌の色が淡い。

ご自分でできる対策:

長期化すると血も足りなくなってきます。

例えばクコの実、サンザシ、ニンジン、ホウレン草、黒豆、ヒジキ、鶏レバーや豚レバー、ブドウやライチなど、赤や黒い食材を少しずつ積極的にとるようにするとよい血が作られます。

肺に熱がこもっているパターン

慢性的に咳が出る病気を長らく患っていると肺の臓が潤いを失います。

潤いが減るということはつまり水が少ない、陰陽で考えると陰<陽という状態になります。

結果、肺が熱くなってきます。

また、辛いものを食べ過ぎるとお体の中で熱となりやすいです。

たばこは辛みですから同様にお体の中で熱になりやすいです。

そして、肺の潤いがなくなり、血の混じった痰が出たり、切れにくい痰を排出しようとして咳きこむことになります。

すると、体力を使った結果、痩せにつながることがあります。

よくある随伴症状:

血の混じる痰または喀血

切れにくい痰。

乾いた咳。

口や喉が渇く。

かすれ声

寝汗

午後から微熱が出る

頬の紅潮。

手のひら・足の裏・胸に熱感。

ご自分でできる対策:

お体の余分な熱を取ってくれる食材、例えばセロリ、キュウリ、ズッキーニ、小松菜やアスパラ、バナナ、マンゴー、メロンなど南の国のフルーツも取り入れてみましょうか。

肝に熱がこもって火になっているパターン

今まで私のブログをご覧になってくださった方は

精神的ストレスが長期化するとイライラから火になるんだな~」

とピンときた方もあると思います。

はい、肝の臓に熱がこもりすぎると肝火となります。

せっかく栄養のある食べ物が体の中に入ってきても燃やし尽くしてしまって、栄養として全身に行き渡らず痩せてしまうのです。

よくある随伴症状:

イライラしやすい。

怒りっぽい。

眼の充血。

頭のふらつき。

わき腹に灼熱感がある。

ご自分でできる対策:

精神的なストレスが何かと多い時代ですが、ぜひストレス解消方法を探してみてください。

好きなことに没頭したり歌を歌ったりスポーツも気分が変わりますよ

胃腸に熱がこもっているパターン

味の濃いもの脂っこいもの辛いもの甘いものを食べ過ぎたりお酒を飲みすぎると胃腸に熱がこもり、消化の速度を速めてしまいます。

それはせっかく食べたものも栄養として吸収されるより前に燃やし尽くしてしまう感じだと糖尿病の記事で書きました。

ピン、ときた方もあるかもしれませんね。以下の記事もご覧ください。

よくある随伴症状:

食べても食べてもすぐに空腹になる。

口臭がきつくなる。

冷たいものを飲みたくなる。

尿の色が濃い

便が硬く出にくい。

舌の上の苔が黄色い。

ご自分でできる対策:

味の濃いもの、脂っこいもの、辛いもの、甘いものを食べ過ぎたり、お酒を飲みすぎると胃腸に熱がこもります。

たまに召し上がる分には問題ありません

ただ、常日頃から食べ過ぎているとお体の特に消化吸収機能が過労になります。

すると気血をうまく作り出せず、お体を栄養することができなくなりますから控え目に、ね。

ご自分がどのパターンに当てはまって痩せてきたのか、考えてみましょう。

鍼治療でお体のバランスを整えて、五臓六腑がしっかり働けるようになると、自然とその方にとって適切な体重になります。

胃腸の不調ならしっかり消化吸収できるお体にさせていただくのでふっくらしてきます。

食べ過ぎてしまう方なら食べ過ぎる原因を取り除き、ぽっちゃりさんならすっきりさんになります。

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

お体も頑張りすぎると回復に時間がかかりますから無理なさらないようにね。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあります。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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