東洋医学で考える腹痛、4つのパターンと自分でできる対処法

鍼灸適応症状

こんにちは、Fijiです🐎。 

3月5日から19日は二十四節気の啓蟄(けいちつ)、冬の間、寒さのあまり地面に潜っていた虫たちも春の陽気を感じて地上に出てくる、と言われる時期です。

実は患者さんの中には、冬の間にため込んだ不要なものがニキビや痒みなどの症状として表れ始めた方もちらほらいらっしゃいます。

また、コロナ騒ぎで自粛生活が長引く中、食べ過ぎの方も多く、消化機能が間に合わず腹痛を起こす方もあります。

この記事は

  • 腹痛で困っている。
  • 薬に頼らず、根本治療したい。
  • 東洋医学や鍼灸に興味がある。
  • どんな考え方で治療するの?
  • 自分でできる対策はあるのかな?

とお悩みの方に鍼灸受診のきっかけになるようお届けします。

Fiji
Fiji

Fiji🐎は東洋医学に基づく鍼灸師歴10年以上です。

日々様々な病の治療や予防に取り組んでいます。

私がどんなふうに腹痛を東洋医学的に捉え、患者さんの治療をさせていただいているか、同じようなお悩みを持つ皆さんのお力になれるよう、患者さんに説明する時のようにお伝えしますね。

そしてこのブログをご覧になった方が東洋医学や鍼灸を身近に感じ、受診してみるきっかけになれば嬉しいです。

昇発(しょうはつ)の季節

東洋医学では秋から冬は「収斂(しゅうれん)の季節」と呼びます。

言い換えれば縮こまる、引き締まる時期です。

そして春は「昇発(しょうはつ)」の季節。

人の体のエネルギーは若芽が伸びるように体中から外へ、体表面へ向かう時期と考えます。

ですからニキビや痒みが出ると患者さんは「嫌だなぁ~」と仰いますが、

お体の中に要らないものを溜めこんでおくより、実はお体にとっては楽になるのです

西洋医学的腹痛の可能性

西洋医学では腹痛にはまず以下の可能性を考えるそうです。

  1. おへそ周辺の痛み⇒膵臓・小腸疾患。
  2. 右下腹部痛⇒盲腸、右尿管や婦人科の卵巣・卵管疾患。
  3. 下腹部痛⇒膀胱疾患。
  4. 左下腹部痛⇒S状結腸疾患、婦人科疾患。
  5. 腹部全体の痛み⇒腹膜炎。
  6. 右脇腹の痛み⇒胆のうや肝臓疾患。
  7. 左脇腹の痛み⇒胃疾患。
  8. みぞおちの痛み⇒胃疾患や狭心症・心筋梗塞。

東洋医学にも臓器と言う考え方はもちろんありますが、臓器ごとに細分化する前にお体全体として以下の4分類を疑います。

風邪の影響ではないですか?

私の他のブログ記事をご覧くださったことのある方なら、

「また風邪?」

と思われるかもしれませんね。

実は私たちはしょっちゅう風邪をひいては自力で治っています

自力で治りきれなかったときに風邪症状として

「かぜひいちゃったよ」とはっきり自覚します。

季節ごとに邪気(じゃき)と言う病気の原因になる要素があります。

邪気には風邪(ふうじゃ)、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪と6種類あり、人は大きな影響を受けます。

春一番が吹くとき、冷たい冬、その時期にあるまじき暑さ、ムシムシした梅雨時、乾燥した空気の秋、熱中症になるほどの燃え盛るような夏、など一年中邪気の中で生活しています。

また、例えば湿熱、寒湿、と言った具合に二つの邪気が重なることもあります。

それでも皆さんのお体はどんな状況下でも皆さんが日常生活を送れるように頑張ってくれています

風邪や邪気については以下の記事もご覧くださいね。

よくある随伴症状:

寒気がしたり、くしゃみ・咳・鼻水など風邪の症状があったり、頭痛肩凝りを感じたりする中で腹痛を発症する方があります。

対処法:

まず風邪が治るようにゆっくり休んでくださいね

飲食の不摂生の結果ではないですか?

暴飲暴食や味の濃いもの、脂っこいもの、甘いもの、刺激の強い物の食べ過ぎで消化機能が追い付かずお体の中に停滞してしまっていると腹痛を起こしやすいです。

よくある随伴症状:

A woman with abdominal pain

うまく下から排泄できない、あるいはお体の気血のめぐりが常に上向き傾向の方は嘔吐吐き気と言った症状を示すこともあります。

口臭やゲップが臭く強くなりがち。

傷んだものを食べてもお体は正常に反応して、「これ、要らない!」と痛みで教えてくれます。

上腹部に膨満感がありみぞおちを押すと嫌な感じがしたり、食べ物を見るのも食べるのもいや、胃酸が上がってくる人もいます。

長期化すると体内で熱化してカチカチの便秘、尿量が減少したり、血便・血尿が出る人もいます。

対処法:

これ以上食べ過ぎないようにしましょう。

精神的ストレスが原因の痛みではないですか?

面接や試験前に急に差し込むような痛みが…、なんて経験のある方もいますね。

抑うつ状態がきつかったり、激しく怒ったり気持ちがのびやかでいられないと、行き場を失った気が停滞し、腹痛を起こすことが多くあります。

よくある随伴症状:

上腹部から下腹部まで、そして脇腹まで痛む部位がころころ変わる人がいます。

ゲップやおならが出ると腹部の張痛が緩解

精神的ストレスが緩和されると腹痛も楽になることが多いです。

対処法:

現代人とストレスは切っても切れないのですが、普段から少しでも好きなことをしてストレス緩和を心がける、良い香りを楽しむなどいかがですか?

お体が冷えに傾いているのではないですか?

例えばお刺身など生ものを食べ過ぎたり、冷たいビールを飲み過ぎたり、高齢や長患いでお体の元気が失われているとお体は冷えに傾きます。するとちょっとした温度変化でも冷えが増長されて腹痛を起こすことがあります。

よくある随伴症状:

温めると楽になる。さするとほっとする。

消化の良い食べ物なら食べると楽になる。

空腹時に痛みが増悪。

休憩すると元気になり腹痛が緩解する人もいます。

対処法:

これ以上冷やさず、エネルギー不足を補うべくゆっくりお過ごしください

腹巻は有効です。

冷えは足元からお体に侵入します。

キッチンに立つときやフローリングのお宅では靴下やスリッパ、ルームシューズなどで暖かくしてお過ごしくださいね。

足三里(あしさんり)というツボ

インターネット上に腹痛には「ココ!」とツボの名前を示しているサイトがあります。

紹介されているツボの一例に「足三里(あしさんり)」があります。

「奥の細道」で有名な松尾芭蕉は胃腸の経絡上にある足三里にお灸をしながら全国を旅しました。

当時は今ほど栄養状態が良くなかったので適切な方法だったかもしれません。

でも、現代は飽食の時代。

特に飲食の不摂生が原因の腹痛の場合に足三里に熱を加えるお灸をすると悪化する方がいることも十分考えられます。

念のため申し添えますね。

いかがでしたか?

東洋医学ではこんな考え方をもとに、実際にその日そのお体の状態に最適なツボを選んでオーダーメイドの鍼灸治療させていただくんですよ。

このブログでは私の学んだ東洋医学を誠心誠意お伝えしていますが、皆さんのお体の現状を実際に拝見できていないため、上記パターンに当てはまらない場合もあります。

最後までお読みくださりどうもありがとうございました!

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参考:

東洋学術出版社 中医内科学(2009年出版)

燎原書店 症状による注意診断と治療 上巻 下巻

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